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【株式会社わたしはインタビュー】軽い気持ちで大喜利AIの話を聞きにいったら、熱くて深い「強いAI」の話になった。

こんにちは。当メディア「SmartHacks Magazine」リリース記念でTwitter大喜利を企画し、どうやって拡散しようかと頭を悩ませていたとき、な、なんと!Twitter上に大喜利をしてくれるAIのBOTがいるじゃないですか!

大喜利してほしいことを「文章」でも「写真」でもtwitterでリプライすると即答してくれるので、早速やっていただきました。

意外に面白くないですか?テキストならいざ知らず、写真を読み取って、なおかつ面白いことを返してくれるなんて、凄い。

こんなものを作ってしまう人は、面白いに違いありません。株式会社わたしはのオフィスに伺ってきました。

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AIの世界に殴りこみたい!!

株式会社わたしは代表取締役CEO 竹之内大輔氏

この時はまだ知りませんでしたが、ただの面白い人じゃなくて、ただならぬ変態的天才でした。それではインタビュー開始です。

ーーまずは、簡単なプロフィールを教えてください。

竹之内大輔氏(以下、竹之内):大手コンサルティングファームで働いていたんですけど、こんなことをやっていても教養がないなぁと思ったんですよね。それで大学院(東京工業大学大学院博士課程で内部観測論を研究)に行きました。哲学とか数理論理学を5年間くらい。それからビジネスの世界に戻ってWEBマーケの仕事に就いたのですが、その時に、次やるなら、自分の会社を起こそうと思っていました。それが年でいうと、2015年です。

その頃、人工知能ブームが起こり始めたんですよ。博士課程の時に何を研究していたかというと「機械に心を持たせる」というのを本気でやっていたんです。だから人工知能ブームが来た時に「何を軽々しくAIって言ってるんだ」と(笑)。

そんなのは、AIじゃないんですよ。だから、世の中で軽々しくAIって言う人たちを張り倒すために自分の会社を始めたんです。それが2016年です。それでGoogleとFacebookに勝つために大喜利AIを始めたんです。

たまには違ったことを言ってほしい。感動があるのは、そこでしょ?

一般的な対話型AIは、「質問に対する正解」を答えようとしますが、大喜利AIは「質問に対して”ギリギリ”会話が成り立つ回答」をします。ギリギリのラインで答えるから、笑いが起きるし、聞き手に「(これだけ複雑な会話ができる=)まるで人間みたい」と感じさせることができます。

竹之内:レコメンドエンジン(WEBサイトでユーザーが購入した商品の関連商品を自動的に提案する仕組み)を作っても面白くないじゃないですか。欲しいんだか欲しくないんだか分からないようなものを勧められたり、毎日同じようなニュースを聞かされてもしょうがないですよね。

ーーギリギリのラインが大事だというのは、人間の面白さはそういうところにあると?

竹之内:人間の面白さというか……コミュニケーションですよね。「コミュニケーションとは何か」というのは哲学ではずっと議論されてきています。たとえば、意図していないような意味で相手に言葉が伝わることってたくさんあるじゃないですか。でも、そういうところに「面白さ」だけじゃなくて「感動する」こととか、いろんなインフォメーションが入っているはずで。

今のAIのアプローチって、そういうものを全部削ぎ落としているんですよね。「解ける問題」に問題を簡略化している。スマートスピーカーもそうでしょ?「レストランのリコメンドをユーザーに提供する」というタスクなら外さないんだけど、別に昼ごはん食べないで、「今日は昼寝しろ」って言ってくれてもいいわけじゃないですか。

たまには違うことを言え、と。決まった幅の中で、いくら回答されたって何も感動もしないし、飽きますよね?違うことが起きる可能性って、ギリギリのラインの会話にしかないんですよ。

「神の存在証明」問題だって数学的にアプローチできる。

ーーそういう風にロボットをまるで人間のように捉えて会話をしてみたいという発想って、すごく共感するのですが、それは鉄腕アトムが生まれた国、つまり日本人だからなのかなと思うのですが……西洋のロボットは顔がないのが多くて、もっと召使い的に使われるという話を聞いたことがありますし。

竹之内:そういう分析をする人はいますよね。AIの業界にも「僕らのアプローチが日本的だ」という人が結構いるんですけど……そういう捉え方だと僕らがやっていることは理解できないと思います。僕らの言うことを理解できる可能性があるのは、Googleのトップオブトップだけですよ。

ーーなぜですか?

竹之内:彼らは、使っている数学のレベルが僕らと同じなんです。つまり、同じレベルの抽象数学で問題を記述しようとしているってことなんですが。

ーー数学?

竹之内:数学です。「AIが文脈を読む」とかそういう話を日本の人たちはすぐ言語に頼って説明しちゃうんですけど、それをギリギリまで粘って数理的なモデルで記述しようって人は世界にはいるんですよ。

ーーもうちょっと詳しく教えてください。

竹之内:たとえば、「神の存在証明」という宗教的な問いがありますよね。そういう問題ですら、アメリカやヨーロッパの人たちは、コンピュータシミュレーションを使った数理的なモデルで解こうと試みるんです。でも日本人って、「神の存在証明って文系マターでしょ」って位置付けて、そこで思考停止しますよね。

海外の人は、数学をもっと高度に使うんですよ。だからさっきの(AIと人間らしく会話したいという)発想を日本人的だと捉えるのは、逆に言うと「言葉に強く依存し過ぎている」とも言えるんです。日本の理系の人も同じ。「それは文系の問題でしょ」と思ったら考えない。だから、彼らは高度な数学の使い方に考えも及ばないし。それはそれは隔絶の差がありますよ。

「弱いAI」と「強いAI」は全然違う。興味があるのは「強いAI」だけ。

ーー竹之内さんが問題を感じることはたくさんあると思うんですが、多くの人がAIの可能性を小さく捉え過ぎているということですか?

竹之内:うーん、そうですね。小さくは捉えていますよね。ジョン・サールという米国の哲学者の定義に「弱い(ウィーク)AI」と「強い(ストロング)AI」があって、前者は、ある答えを探さなきゃいけないタスクがあった時に探せるAI。今、スマートスピーカーを含めて世の中全般にあるのはこっちですね。

強いAIは定義が全然違って、意識があるかどうか。心を持っているかどうか。僕の興味は、こっちにしかないんです。

ーー2つは全然違う?

竹之内:ええ。弱いAIの技術が僕らの研究を進めたことは確かなんですけど、弱いAIの先に強いAIはないんです。やっていることが違い過ぎるんです。

ーーよくシンギュラリティ(技術的特異点。AIが人間の能力を超える点)といいますが、あれは。

竹之内:ああ、ありますね。弱いAIの積み上げの果てに到達出来るものと出来ないものがあるんですよ。弱いAIをいくら積み上げてもシンギュラリティは起きません。それに自覚的な人がどれくらいいるのかはわかりませんが。僕らは3年後に強いAIでシンギュラリティを可能にしますよ。

Googleの画像認識とはレベルが違う。

技術の話をするときの楽しそうな竹之内氏。

AIがテキストで大喜利ができる理由をかいつまむと、「ユーモアを含まない日本語」と「竹之内さんたちが定めたルールに則って集めたユーモアを含んだ日本語」の2つを読み込ませて、その違いを学習させるから、と言えます。それではどうして画像で大喜利ができるのでしょうか?

ーー 一応弊社の大喜利企画で来たので、画像の話をしてもいいですか?

竹之内:どうぞ、どうぞ(笑)

ーーテキストの大喜利は、まだわかるんですが、写真を読むってすごいな、と。

竹之内:Googleがやっている画像認識と僕らがやっている画像認識には決定的な分水嶺があるんです。たとえば、赤ちゃんが写っている写真に対して、彼らは「赤ちゃんが口にスマートフォンをくわえている」とか正確なキャプションをつけるわけですよ。これはこれで進んでいるから、いいんですけど、僕らがやっている「画像にオチをつける」ってこととは、レベルが全然違います。

ーー最近、AIが目を持ったという話を聞きますが。

竹之内:「目を持った」という意味は、単にオブジェクトを認識するってことです。あれが「時計」だ、これが「カレンダー」だ、と。それはタグがついたってことなんです。クロックっていうタグがついている膨大な量の時計の画像を入れたから、実物を見た時に「時計」だとわかる。

意味の世界にAIを連れていく。

竹之内:でも、僕らがいるのは、「意味の世界」なんです。たとえば、ドラゴンボールにフリーザ様って出てきますよね?フリーザって冷蔵庫という意味なんです。だから、フリーザの下にいる”ベジータ”はベジタブルだし、”サイヤ人”は野菜だし、”ザーボン”はザボン(文旦)だし、冷蔵庫に入るものなんですよ。

で、僕らがやりたいのは、たとえば「最強の冷蔵庫」っていうお題を出された時に、冷蔵庫から手足がニョキニョキ出て、フリーザの有名なセリフの「私の戦闘力は53万です」と言っているイラストをAIに描かせることです。

ーーイラストですか!

竹之内:そうです。まだ、イラストを描くところまではいってないですけど、「冷蔵庫」と「フリーザ」を関連づけることはできるんです。これは、冷蔵庫っていうタグをつけた、冷蔵庫の画像をいくら読み込ませてもできないですよ。

意味がわかるから「冷蔵庫」と「フリーザ」をくっつけられるし、「冷蔵庫」の画像を見た時に「フリーザ」の手足を描き足すってことができるAIをつくっているんです。

ーー意味を理解して、違う文脈に置き換えられるってすごいですね。

竹之内:Googleの人たちは1個1個の画像に、さっきも言ったように単語のタグをつけていっている。僕らもそういうことをやらないわけじゃないですが、「意味の世界」にいるAIだと、一見全然違うものをガチャってくっつけることができます。教えてないことができるんですよ。

Googleの人たちも「類推ができる」っていいますけど、それって「赤い鳥」の写真を大量に見せて、「レッドバード」と覚えさせて、そのあと「黄色い鳥」の写真を見せて「イエローバード」って答えられるとか、そんなレベルなんですよ。

今、僕らがやっているのは、たとえば、ブルーハーツの歌を聞かせて、そこから太宰治的なものを引いて、最後にもうちょっと日本的な要素を入れたいから、富士山の写真を入れるとかをやっているんです。人間には出来ないけど、AIなら、全然違うものを強引に組み合わせてアウトプットを出すことができる。

AIの使い道はクリエィティブで面白いことにある。

ここから竹之内さんの怒涛のクリエィティブなAIの例が続きます。企業秘密もあるので若干脚色してお伝えすると、きっと近い将来みなさんは、好きな声優とかアイドルの声でスマートスピーカーを喋らせることもできるし、オーディオブックを読ませることもできるし、好きな歌手をピックアップして集めて歌わせることもできるし。しかも、格安で。という、とんでもなく夢のような話でした。

ーーめちゃめちゃクリエィティブじゃないですか。

竹之内:そうですよ。でも、AIって、そういう風に使うもんだと思うんですよ。全然違うモードにあるものを強引に結びつけるのが、面白いじゃないですか。それって、今までクリエイターの人がやってきたことなんですけど、普通の人でもいけるようになるのがAIです。

ーーそうするとシンギュラリティが起きてAIに職を奪われるから、人間はクリエィティブになればいいなんていう論説は。

竹之内:そんなアホなって話ですよ(笑)。失業するなんて心配すること自体ナンセンスな話で、人間なんて所詮冗長な生き物ですから、機械に任せられることは機械に任せて、他にいくらでも無駄なことをつくれますよ。

外国人タレントAさんの音声で答えてくれるAIがあるんですよ。「こんださんβ」というTwitterでこっそり公開しているんですけど(笑)、リプライで質問をしたら、回答を音声で返してくれます。

こんださんβのTwitterページ。取材当日は、これの改良版を聞かせていただきました。

クラウド上でAIを育て合うことで無限の創造性が生まれる

竹之内:僕らがどういうユーザー体験をしたいか、あるいは、してほしいと思っているかというと、人間の一部を移したAIをクラウド上にたくさんつくることでAIと人間のコミュニケーションを活性化させたいんです。

ーーどういうことですか?

竹之内:今LINEで大喜利ができるようにしているんですけど。僕がAIとずっと大喜利し合うと、僕の「ユーモア」がAIに乗り移るみたいなことがあるんですよ。

これを大阪にいるハガキ職人とか笑いに自信のある人がやると、大阪ハガキ職人のお笑いセンスをコピーしたAIができる。その人のアバターみたいになるんですよ。

ーーAIを育てることができる。

竹之内:そうそう。誰でも大喜利をして自分のAIを育てることができる。で、出来たAIをクラウド上にあげたら誰でもアクセスできるじゃないですか。これから渋谷でコンパのある大学生が「女の子を笑わせる自信がない」って思ったら、「大阪ハガキ職人」のAIをダウンロードすればいいんですよ(笑)。しかも、ネットでつながっているから、大阪ハガキ職人のところには、プッシュ通知が来て「今、渋谷で俺のAIが誰かを笑わせてるんだ」っていうことがわかる。

同時に別の場所で、北海道に出張したサラリーマンがススキノで笑いをとるためにダウンロードして。そこでやたらと北海道名物カニの話をしたら、AIがカニの話題について学ぶんですよ。大阪ハガキ職人は「俺のAI、最近やたらカニに強いな」とかそういうことが起きるわけ(笑)

ーー育てたAIが、手元を離れたら成長して帰ってくる、と。

竹之内:自分のコピーロボットだと思っていたのに、違う人格になっている。面白くないですか?

人間の意識をいきなり全部AIに持たせるのは難しいんですよ。でも、「ユーモア」とか一部なら渡せるはずなんですよ。そもそも、これがやりたくて、大喜利をしているんです。

ーーすごいですね。しかも、自分のAIに他の人の手も入って育てられるというのが面白い。

竹之内:人間にできないことをAIにやってもらったら、クリエイティブの組み合わせは無限で人間はますます楽しくなりますよ。

AI開発の壁は著作権問題にあるが、ブロックチェーンで解決できる。

ーーそれが実現するのはいつですか?

竹之内:技術的には、あと2年で実現できます。ただ制度が整うのは、もう少しかかるかもしれませんね。著作権の問題がありますから。

ーースマートスピーカーでも、好きな声優さんの声でしゃべるスキルを開発したいなと思っても、権利の問題で出来ないだろうなと思うことがあります。

竹之内:僕は著作権の問題は、ブロックチェーンで解決できると思ってます。

ーーブロックチェーンと著作権??

竹之内:そうです(笑)。デジタルコンテンツをトレースできるのってブロックチェーンなんです。ブロックチェーンって、トークンを配るので誰がいつ何をどれくらい使ったのか全部トレースできるし、しかも、暗号がかかっているんで、読める人は読めるし、機密性は保てるという素晴らしい技術なんですよ。

デジタルコンテンツをトレースしたい企業はたくさんあるんですよ。だから、いくつかの角度から、仕組み的な整備は成立してくるはずですよ。

ーーそうなんですね。そこが解決できると自由にいろいろ出来そうですね。それでは最後にスマートスピーカーについて聞かせてください。

竹之内:スマートスピーカーは3日で飽きましたね(笑)。まだスマホの方が便利ですよね。

ーー(笑)。どうしてスマートスピーカー専門メディアの我々の取材を引き受けてくださったんですか?

竹之内:そこに御社が賭けてるからですよ。僕らもどこかのタイミングでスマートスピーカーが生活の真ん中に来る可能性はあると思っているので。あれが勝てるという確証はないですけどね。でも、いろんなところに賭ける企業があるのはいいことじゃないですか。

それに僕は起業家やスタートアップは全員仲間だと思っているんで、大企業や大きいメディアからの取材のご依頼だったら断ってたと思いますよ!

ーーそうだったんですか!インタビューに答えてくださって、本当にありがとうございました。

http://watashiha.co.jp/

SmartHacks Magazine 編集部

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