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「ヨシオくん危機一髪!」「どっちでショー」などスマートスピーカー向け人気アプリを次々リリースするVoiceApp Lab(ボイスアップラボ)に聞くアプリ開発の秘訣

昨年スマートスピーカーが日本で発売されて以来、Google Home対応アプリとAmazon Echo対応Alexaスキルの数も少しずつ増えています(以下、アプリで統一)。2018年2月23日現在、Google Home対応アプリが約250、Alexaスキルが約500存在します。

そんな中「ヨシオくん危機一髪」「どっちでショー」「お願いサンタ」「キーワードニュース」「なりきり独裁者」等、印象に残るスマートスピーカー向けアプリを3ヶ月で12本もリリースしているVoiceApp Lab(ボイスアップラボ)。

今回は、VoiceApp Labの代表 コバヤシトール氏にアプリ開発のコツや、アイディア勝負でヒットを飛ばせる理由をインタビューをしました。

アプリ開発者や自社アプリを開発したいと考えている担当者は必読です。

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最初から良いものは作れないだろうから、とにかく早く始めたかった

VoiceApp Lab ろくろを回すコバヤシトール氏

ーーはじめに貴社について簡単に教えてください。

コバヤシトール氏(以下、コバヤシ氏):VoiceApp Labは、会社ではないんです。私はフリーのエンジニアで京都のコワーキングスペースを拠点に活動しています。そこで同じくフリーで活動しているエンジニアと一緒にスマートスピーカーアプリを研究しようと立ち上げました。発表する場や、仕事を受ける窓口として何か1つあるといいよね、というのでVoic eApp Labがあります。メンバーは京都に2人、東京にももう1人います。

ーー一そうだったんですね。VoiceApp Labのアプリはどれも面白く、SmartHaks内でも人気なのですが、皆さんで話し合って企画を出されているんですか?

コバヤシ氏:いいえ。そういうわけではなくて、それぞれが好きなものを作っています。

ーーなるほど。かなり早くからアプリ開発に取り組まれたと思うのですが、なぜそんなに早かったのでしょう?

コバヤシ氏:2017年の10月にGoogle Homeが発売されましたよね。もともとiPhoneやPCのアプリを作っていたのですが、スマートスピーカーも調べていくうちに、アメリカでかなり盛り上がっていることが分かって。これは日本でも来ると思ったんですよね。しかも、自分たちでスキルを作れると。

スマートスピーカーって、インターフェイスが謎じゃないですか(笑)音声コマンドだけって。これはすぐには良いものは作れないだろうから何個か作ってみるしかないなと思いました。それなら早くやった方がいいな、と。経験が有るのと無いのでは全然違ってくるので。

ーー実際に作ってみると、腕がどんどん上がるものですか?

コバヤシ氏:そうだと思います。私が最初に作ったのは、「おうむ返しくん」ですから。最初は、あれくらいのアイディアしか出てこないんじゃないかと思うんです。優秀なクリエイターに聞いても、最初に出るアイディアってそんなにないんです。

コバヤシ氏が最初につくった「おうむ返しくん」の詳細はこちら▼

コバヤシ氏:作ってみて初めて「あんなことも出来るこんなことも出来る」と分かってくる。たとえば、最新作の「ボイスカンフー」は、格闘ゲームなんですが音で格闘ゲームをやろうなんていう発想は「おうむ返しくん」を作った頃には全くなかった。本当に手を動かしてみないと分からないですね。

スマートスピーカーのアプリの枠をエイッと超えると面白くなる

ーーなるほど。今回「ヨシオくん危機一髪」「どっちでショー」の2つで合計4万件以上利用されたということで、おめでとうございます、どうしたらユーザーに使ってもらえるような面白いアプリを作れるのでしょうか?

コバヤシ氏:うーん。それはそんなに難しいことじゃなくて……スマートスピーカーのアプリって型にはまりがちなんですよね。「こう聞いたら、こう答える」という割と狭いところに枠があるので、そこをエイっと飛び越えて行くと面白くなる。

たとえば、「どっちでショー」はテレビ番組風にしています。普通にやれば、一問一答のクイズ形式になるんでしょうけれど、発想としてはテレビ番組のエッセンスを入れた演出をするだけなんですよね。でも、それでユーザーの記憶に残りやすくなる。

人気アプリ「どっちでショー」の詳細はこちら▼

コバヤシ氏:たとえば「ヨシオくん危機一髪」は、いつもは淡々と喋っているアシスタントに意外な発言をさせたかったんです。漫才のような掛け合いにして、アシスタントを役者として使ってみたら面白そうだと。そういうことができれば幅が広がりますよね。

人気アプリ「ヨシオくん危機一髪」の詳細はこちら▼

コバヤシ氏:今は割とユーザーさんの想像を技術面で超えるのは難しくないんです。プログラムの設定で声色を変えることもできるので、ちょっとアシスタントの声が違うだけで「お〜!」となったり、「キーワードニュース」にジングルを入れるだけで見え方が変わってきたり。

「キーワードニュース」の詳細はこちら▼

コバヤシ氏:“ちょこっとだけ変える”というのを試しているんです。最初から、こんなことをやろうと決めて始めるんではなくて「どっちでショー」だったら「アンケートを取りたい」、じゃあ、演出をどうやろうかと試しながらやっているんです。

ーーそうだったんですね。VoiceApp Labとして、この企画は出してこの企画は出さないといったジャッジの基準はあるんですか?

コバヤシ氏:今はないですね。お互いの作るものに影響は受けていると思いますが、作りたいものをそれぞれが作っています。今は、作っている方もどこまで出来るのか分かってないんです。だから、やりながら試している感じですね。

最高作品は「ボイスカンフー」。ユーザーに使ってもらうために取り入れた工夫とは?

ーー今まで作った中で一番良かったアプリは何ですか?

コバヤシ氏:「ボイスカンフー」です。

ーーなぜですか?

コバヤシ氏:いろんなトライがありまして、開発の苦労話しに通じますが……スマートスピーカーのアプリは、1回やって終しまいになりがちなんですよね。繰り返し使ってもらうためには、ユーザーさんの記憶に残るか、生活サイクルに入り込まないといけない。

ボイスカンフーは、自動で他のユーザーさんと戦うことが出来るんです。次の日に起動したら、何回戦って何回「ありがとう」って言われましたという情報が入ってくる。継続する楽しさを感じて欲しくていれたんです。

スマホだったら、常にアプリがあっていつでも利用してもらえますし、プッシュ通知ですとか工夫が出来ますけど、スマートスピーカーは音だけなのでどうしたら継続してもらえるのかを考えましたね。これまでの試行錯誤を踏まえて一番考えたのが、ボイスカンフーなんです。

ボイスカンフーの詳細はこちら▼

悩みは流入経路は全くわからないこと

スマートスピーカーアプリについて、取れる情報は少ないようです。VoiceApp Labのリリース情報を下記に紹介します。わかることは、スピーカーからの利用者数・セッション毎の平均発話数・ユニークユーザーあたりの平均セッションです。

「ヨシオくん危機一髪!」の利用頻度▼

Google Assistant 公式ディレクトリでの人気ランキングでは5日連続で1位を記録、のべ19,158人(2018/1/8まで)に利用されました。うち Amazon Alexa や Google Home 等スマートスピーカーからの利用は1,795人でした。スマートスピーカー(音声アシスタント)向けゲームスキル「ヨシオくん危機一髪!」および「どっちでショー」の利用者数が4万件を突破!

「どっちでショー」の利用頻度▼

Google Assistant 公式ディレクトリでの人気ランキングでは8日間連続で1位を記録、のべ25,245人(2018/1/8まで)に利用されました。うちスマートスピーカーからは1,443人の利用がありました。
スマートスピーカー(音声アシスタント)向けゲームスキル「ヨシオくん危機一髪!」および「どっちでショー」の利用者数が4万件を突破!

ーーこれまでで一番評価出来るのが「ボイスカンフー」とのことですが、アプリが成功したかどうかを評価する基準といいますか、KPIはありますか?

コバヤシ氏:それが難しいんですよね。まず、流入経路が分からない。皆さん、アプリを起動してくれているけど、何を見て起動してくれたのが全くわからないし、何がどう伝わったのが良かったのか悪かったのか、が一切わからないのは悩みですね。

その中でも参考にしているのは、Google Assistantアプリの評価です。たとえば、「ヨシオくん危機一髪!」は満足度が高くて52の評価の中で36が星5つをつけてくれているんです。他のアプリの評価と比べても突出している。(※ユーザー側からは評価の内訳は見れません)

Google Assistantは、テキストベースでも遊べるのですが、音声で使っている人も多いはずなんです。そういうところで「ヨシオくん危機一髪!」が好評価を得るということは、このアプリの持つ特徴、たとえば軽妙な会話のやりとりが支持されたんだなとか、音声アプリ開発のヒントになると感じています。

4.2という高い評価を得ています。
Google Assistantバージョンの「ヨシオくん危機一髪」。テキストでも遊べます。

ーー他企業様を取材させてもらった時にもデータが取れないというようなことはお話に出ました。

コバヤシ氏:リンクを追って辿れればいいのですが、それが出来ないんですよね。

スマートスピーカーとスマートフォンのアプリの違いは「拡散力」

ーースマートフォンのユーザーとスマートスピーカーのユーザーでここが違うんじゃないかというポイントはありますか?

コバヤシ氏:ユーザーは、あんまり違わないと思います。ただ、端末の体験の違いが大きいですよね。スマートスピーカーの何が一番弱いかって拡散してもらえないんですよ。スマートフォンで面白いアプリがあったら、キャプチャを撮ってTwitterに流すとか方法があるんですが、スマートスピーカーで良いのがあって拡散しようと思っても難しい。

ーー拡散がないとすると、ユーザー数は微増微減をずっと繰り返していますか?

コバヤシ氏:そうです。土日はちょっと増えます。平日は恐ろしく少ないですよ(笑)ただ、Google Assistantまで数に入れると、波が来ることもあるんです。あれは音声で利用する人たちもいるので、そう考えると音で遊ぶことの可能性はあると思います。

でも今のままだと、あんまり発展性はないような気がします。もう少し何か他のデバイスと連携させるとか、そういうことがあると広がっていくのかなと思います。

ーー拡散力の弱さというのは、Google HomeでもAmazon Echoでも変わらないですか?どちらかの方が拡散しやすいというのはありますか?

コバヤシ氏:うーん。Google Homeの方が、新着にのりやすいですね。ちょっと前までは、どういうアルゴリズムなのか分からなかったのですが、今は新しいものはちゃんと新着にのります。Amazonは新着があまり目立たないので、最初に人気になったものがより人気になっていく印象が強いイメージです。

ただ、スマホのアプリのようにブースト(アプリのランキングを上げる方法)させる方法がないので、唯一新着に載るか載らないかだけなんですよね。そこに載れないと作っても埋もれて行くので、草の根エンジニアが戦おうとしてもなかなか厳しいと感じてます。

SmartHacksさんのように、面白いスキルを評価してくれるところを見つけて嬉しかったですよ(笑)良いものを作っても、誰も見てくれていないんじゃないかという不安があったので。ボトムアップでユーザーが使ってみて「このスキル面白いよ!」って押し上げて行くようになるといいですよね。

ーーそう言っていただけると、我々も嬉しいです。ありがとうございます。

GoogleとAmazonの両方にリリース出来るのは、統合フレームワークを準備しているから

ーー先ほどから、さらりとGoogleとAmazon両方の話をしていますけど、この2つにアプリをリリースして行くのは結構大変だと思います。全然違うから、片方しかリリースしないという方もいらっしゃいますよね。コバヤシさんは、どうされているのですか?

コバヤシ氏:開発的には、GoogleのDialogflowに合わせて進めています。最初から、両方にリリースするつもりで統合フレームワークを作ってから開発しています。

ーーなるほど。そのフレームワークがないと普通は難しいですよね?

コバヤシ氏:ええ。基本的な会話など、共通化できる部分はフレームワー クを作ってしまえばかなり楽です。インテント処理(音声認識してテキスト化すること)などは共通化出来ないので、プラットフォームごとに対応しています。

ーー最後の質問です。スマートスピーカーに関わる人たち皆が気になっていることだと思うのですが、将来的にマネタイズの可能性はどこにあるとお考えですか?

コバヤシ氏:海外だとAmazon Alexaの人気スキルには報酬が支払われています。そういうことが日本でも、Google Homeでも起きてくると期待しています。もう1つは、そろそろ企業がアプリを作りたいと考え始めるはずなので、その時にコラボが出来たらいいなと思います。企業がアプリを出しても、何もしないと埋もれてしまうと思うのですが、我々は面白くしてちゃんとユーザーに届くアプリにすることは出来るので。スマートスピーカーで何かを仕掛けたい企業の方は、ぜひコンタクトいただければと思います!

ーー企業ニーズは増えて来ると思います。これからどう変わって行くのかが楽しみですね。今日はどうもありがとうございました!

VoiceApp Lab

SmartHacks Magazine 編集部

スマートスピーカーで遊ぶ集団。

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