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紛失防止デバイスで「なくすを、なくす」MAMORIOがスマートスピーカーに対応

「なくすを、なくす」をミッションとするMAMORIO株式会社。世界最小クラスの紛失防止デバイスであるMAMORIOは、大切なものに付けておくと、手元から離れた時にいつどこで失くしたかアプリに通知がきます。3月5日にMAMORIOは、Amazon Alexa、Google Assistant、LINEに対応したと発表しました。そこで、同社CDO(Chief Design Officer)の神谷郁氏と開発を担当したエンジニアの松本和也氏にインタビューしました。

画像出典:MAMORIO

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MAMORIOとは?

MAMORIOは、世界最小クラスの紛失防止デバイスです。

「世界最小クラスの紛失防止デバイス」MAMORIOで出来ること
使い方:MAMORIOアプリをインストールし、財布や鍵などの失くしたくない物にMAMORIOをつけます。
アラート機能:MAMORIOが手元から離れると、いつどこで失くしたかをスマートフォンアプリに通知します。
みんなでさがす:手元から離れたMAMORIOと他のユーザーがすれ違った時、その場所をお知らせします。(他のユーザーに場所は伝わりません/特許取得済)
MAMORIO Spot:駅や交通機関に設置されているMAMORIO SpotにMAMORIOが届くとお知らせします。

創業時から変わらない理念

MAMORIO株式会社 CDOの神谷 郁氏(左)とエンジニアの松本和也氏(右)。

ーー最近、MAMORIOの知名度がますます上がっていると思いますが、そもそもどのような理念でMAMORIOを作られたのでしょうか?

神谷郁氏(以下、神谷氏):MAMORIO株式会社は最初からハードウェアを作っていたわけではなく、もともとは「落し物ドットコム」という名前でポータルサイトを運営していました。代表の増木は証券会社に勤めていたのですが、会社でたくさんのデータが詰まったタブレット端末が失くなってしまう事故がありました。こんな時に、「なくすを、なくす」ような製品やサービスがあればと思い、「落し物をした人」と「落し物を拾った人」が登録出来るサイトを作ったんです。

ーー証券会社の端末を失くしたら大変なことになりますね。ポータルサイトへの反響はいかがでしたか?

松本和也氏(以下、松本氏):サイトに書き込みがあったらTwitterに自動投稿されるようになっていまして、それが拡散されて実際に見つかった例があります。今でもサイトは継続していまして、ユーザー登録は1日に30〜40人あります。

ーーすごいですね。どうしてそんなに登録があるのでしょうか?

松本氏:失くし物をした時って、まずWEBで検索する人が多いんですよ。「免許証 失くした」「財布 失くした」などで検索されると「落し物ドットコム」がトップに出てくるんです。それらの対処法ページからの流入が多く、登録につながっています。

ーー落し物をした時に検索する人は多いですよね。そこからなぜハードを作ろうという流れになったのでしょうか。

神谷氏:ポータルサイトよりも、落し物をした場所を確認できるハードウェアがあった方がより便利だろうということでMAMORIOの開発が始まりました。2014年にクラウドファンディングを開始し、2015年に発売を開始しました。

ーー2017年には『Amazonランキング大賞2017』のAmazon Launchpad(スタートアップのプロダクトのみを取り扱う特設ストア)部門で年間売り上げランキング1位に輝きましたよね。

神谷氏:はい。また、量販店や百貨店などでも展開しています。

ーー発売当時と現在でユーザー層は変化しましたか?

神谷氏:MAMORIOの発売当初は、ガジェット好きな方、新しもの好きな方が中心でした。現在はユーザー層が幅広くなり、ペットやご家族の見守りに使用するケース、自転車に付けるケースなど、使い方もより多様になりました。

MAMORIOの強みとは?MAMORIOユーザーが増えるほど、見つかりやすくなる

画像出典:MAMORIO 財布に入れられる小ささ。アプリに場所が通知されます。

ーーMAMORIOの特徴について、教えてください。

神谷氏:MAMORIOはスマートフォンとペアリングされ、一定距離を離れると、いつどこで失くしたか通知を送ります。また、手元から離れたMAMORIOと他のユーザーがすれ違うとお知らせする「みんなでさがす」機能や、駅や街に設置されているMAMORIO SpotにMAMORIOが届くと自動でお知らせするサービスも提供しています。

ーーご家族やペットの見守りにMAMORIOを利用する方もいらっしゃるそうですが、携帯やスマホの見守り機能との違いは何でしょうか?

松本氏:GPSを用いた見守り端末と比較してMAMORIO自体はBluetoothを使って通信しているので、見守られる方はインターネットに繋がる大きな端末を持つ必要がありません。また、月額コストも不要です。

ーー電源はどうなっているのですか?

神谷氏:電源のON/OFFはなく、最大1年間バッテリーが持続します。利用から180日以上経過したMAMORIOを半額で新品と交換する「OTAKIAGE」というサービスも提供しています。

fairy engineで多数のプラットフォームに同時対応

スマートスピーカー×MAMORIOで出来ること
声のかけ方:「アレクサ、MAMORIOをひらいて」「OK Google、MAMORIOと話したい」
できること①:失くし物が最後にあった場所と時間を教えてくれます。
できること②:「みんなで探す」機能をオンに出来ます。

ーー今回、MAMORIOがスマートスピーカーに対応しましたが、どういったことが出来るようになるのでしょうか?

神谷氏:MAMORIOをつけた持ち物が最後にあった場所を教えてくれます。また、持ち物を失くしてしまった場合に「みんなで探す」機能をONにすることもできます。

松本氏:今回は早くリリースしてユーザーさんの反応を見たかったので、機能は最小限に絞りβ版としてリリースさせていただいています。

ーースマートスピーカーに対応されようと思ったのは、どうしてですか?

神谷氏:最近IoTを用いた便利なサービスがたくさん作られていますが、セットアップが大変だったり、コンソール画面(入力画面)が複雑で分かりにくかったりと利用のハードルが高い面もあります。

でも、MAMORIOは幅広いユーザーに利用されている製品なので、誰でも直感的に理解して使えるようにしたい。「財布はどこ?」と尋ねたら「手元にあります」と返ってくるような、シンプルなUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザーがサービスを利用して得る体験のこと)を提供したいんです。そこでスマートスピーカーの対応を始めました。

ーーシンプルなところが良かったというわけですね。

松本氏:社内でもVUI(ボイスユーザーインターフェイス)は今後当たり前になっていくよね、という話はあって、いち早く取り入れたいな、と。

ーーなるほど。まず最初にAmazon Alexaに対応させたのですか? 

松本氏:いいえ。全部一緒に作っています。

ーー全部一緒に?

松本氏:今回は個別のAlexaスキルやActions On Googleスキルを作ったというよりも、「fariy engine」というMAMORIOの情報を“言葉で聞くと言葉で教えてくれる”エンジンを作りました。

エンジンにプラットフォームを追加することでスキルとしてリリースしているイメージです。各プラットフォームの差分はエンジン内で吸収して、質問と応答は全て一箇所で行っています。ここの差分を吸収するところが最も苦労した箇所ですね。

こうしておくことで今後新しい機能を追加したいというときにエンジン部分を変更するだけで全てのプラットフォームに対応させることが出来ます。また、新しいプラットフォームに対応させたい場合でも簡単に追加することが可能です。

間に1つ変換器みたいなものを挟んで、この変換器さえ設定を変えたら他も全部変えられるようにしました。新しい機能を追加する場合、普通は1つ1つ追加しなくちゃいけなくなると思うんですけど、この変換器に追加したら全部に追加されるという感じです。ここが開発で大変だったところですね。

ーー素晴らしい判断ですね。松本さんが、お1人でされたのですか?

松本氏:はい。β版でリソースがないこともあり1人で作りました。リソースが少ない中で判断は難しいところなのですが、納期もあるので、スピードは意識しつつ、技術的負債(行き当たりばったりな開発によって後々苦労することの比喩)の溜まり過ぎない設計を心がけました。

ーーAmazon Alexaスキルだけを先に作ってGoogle Homeに対応させるのが大変だという話も耳にするので、すごくいい判断をされたなと思うのですが、どうしてそういう判断が出来たと思われますか?

松本氏:うーん。最初から、LINEにも対応させて欲しいし、スマートスピーカーにも両方対応させて欲しいという話だったので。最初ちょっとだけ1つ1つ作ってみたんですけど、これは無理だなと思って(笑)その時点でこのまま作り続けるとやばいなと思って切り替えました。

神谷氏:英断でしたね(笑)

ーー英断ですね。そうすると、今後新しい機能が追加されても変換器を変えれば、いっぺんに全部変更できるんですよね?

松本氏:そうですね、そうなっています。新機能が追加されても大丈夫ですし、もう1つ端末自体が増えても変換器とつなげるだけで大丈夫です。

スマートスピーカーで広がるユースケース

画像出典:MAMORIO 同社がエーザイ株式会社と共同開発した高齢者の方の見守り専用のMe-MAMORIO。

ーースマートスピーカーに対応して良かったことはありますか?

神谷氏:ユースケースが広がることですね。これまではアプリを開いて確認しなきゃいけなかったのですが、これからは「あれって、手元にあったっけ?」と思った時に、すぐ口に出せる。失くし物をしたら、人に言うじゃないですか。「どこにあったっけ?」と近くの人に聞く人がほとんど。そういう体験がスマートスピーカーで出来るようになるのでユーザー接点が増えるのかなと思います。

ーー今回はβ版なので最低限の機能でリリースされたということですが、今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

神谷氏:今後はビジネス用チャットツールへの対応や、ご家族やペットの見守り用途への活用など、様々な展開を予定しています。

また、今は「お財布はどこ?」のように聞いたら場所を答えるだけですが、今後はもしお財布を失くしてしまった時に「カードを止めるためにカード会社に電話しましょう、近くの交番に問い合わせてみましょう」といった紛失時のサポートも出来るようにしていきたいですね。

ーーちょっと大きい話になりますが、音声コマンドは将来的にどうなっていくと思われますか?

松本氏:今はガジェット好きなアーリーアダプターの方が使ってらっしゃると思うのですが、高齢者ですとか、お子さんですとか、デバイスが苦手な人でも音声なら使えるので、浸透してくると思います。

将来的には、IoTも自分が使っていることを意識しないような存在になっていくと思います。たとえば、この部屋の照明も空調も勝手に自動調整されて、快適なのが当たり前になるというか。MAMORIOも、紛失という緊急の時以外は意識するものではなくて。代表の増木が言っているのですが「普段は忘れ去られようなプロダクト」担っていくと思います。

神谷氏:当たり前すぎて忘れられると同時に、MAMORIOがなかった頃を忘れてしまうようなプロダクトにしたいです。MAMORIOなしでどうやって落し物を探していたんだろう?というような。ボイスUIが出てきたことで、一歩そこに近づけたと思います。

ーーそれでは、最後に読者に一言お願いいたします。

松本氏:スマートスピーカーを持っている人はまだ少ないと思いますが、AndroidであればGoogle Assistantが入っているので、MAMORIOをお持ちの方はぜひ使ってみてください。(*iPhoneはGoogle Assistantをダウンロードすれば使えます)

ーーありがとうございます。

公式サイト:MAMORIO株式会社

SmartHacks Magazine 編集部

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