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83歳のプログラマー若宮正子さんに聞く「シニアとスマートスピーカー 」

両親や祖父母などのシニア層に話し相手や見守り役としてスマートスピーカーを使ってほしいと考える人もいるかもしれません。この記事ではどうしたらスマートスピーカーをシニアにも使ってもらえるのか、若宮正子さん(以下、マーチャン)にお聞きしました。

マーチャンは定年退職後に自宅にいてもインターネットで人とコミュニケーションがとれる”インターネット”を知り、パソコンスキルを習得。2017年81歳の時にはiPhoneのゲームアプリ「hinadan(ヒナダン)」を発表し、それをきっかけにAppleのWWDC2017(Worldwide Developers Conference2017:Appleが毎年開催している開発者向けのイベント)に招待され一躍時の人になった方です。ご自身でもGoogle Homeを使われています。

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Google Homeには質問をしています

Google Homeはいろんな質問をしたり音楽を聴いたりするなどして使っています。私の家のGoogle Homeは言語設定が英語なので、英語で話しかけないといけません。2018年の2月に国連でスピーチをする前は、英語の練習だと思って積極的に使いましたよ(笑)。

2018年2月国連にて英語でスピーチをするマーチャン。国連のHPではスピーチの動画が見られます(17:40頃〜スタート)。

シニアにもAIやIoTを使ってもらう時代が来る

これからシニアにスマートスピーカーやIT機器を使ってもらう必要が出てくると思います。独居老人が増えていますし、在宅介護も家族が24時間一緒にいられるわけじゃないですから、シニアがスマートスピーカーを通してできることが増えたらいいと思います。

私は安倍晋三首相の「人生100年時代構想会議」に参加していますが、会議でも「これからはAIやIoTをシニアに使ってもらいたい」という話が出ています。

そういう意味では、スマートホーム(スマートスピーカーと家電を連携して、音声で家電をコントロールすること)は期待できますね。

どうしたらシニアにスマートスピーカーを使ってもらえるかということですが、スマートスピーカーを本当に便利だと感じる時ですよね。それは要介護レベル2(歩行や起き上がりに介護が必要な状態)や要介護レベル3(日常生活全般に介護が必要な状態)になった時に役立つものじゃないかしらと思います。私だったら……と想像しますと、やっぱりスマートスピーカーと家電を連携してできることが増えるのが一番いいと思います。

私はあまり病気になったことがありませんが、足をくじいた時や風邪をひいた時は、スマートスピーカーに声をかけただけで家電が動いてくれたらいいなと思いました。

足をくじいた時はベッドの下に落としたメガネを拾うのが大変でした。そんな時、スマートスピーカーに「ルンバでベッドの下のメガネを拾って」と言ったら、ルンバがメガネをベッドの下から押し出してくれる……そんなことが可能になったらいいですよね。

風邪をひいて喉が痛い時にスマートスピーカーに「いつもより柔らかめにご飯を炊いて」と言ったら、炊飯器を操作してくれるようになるですとか。そういうことを人に頼まないで、スマートスピーカーに声をかけるだけでできるようになったらいいですね。

ですから、今後はどこのメーカーもスマートスピーカーと連携できるようにしてもらえるとありがたいですね。

シニアがスマートスピーカーでちょっとしたことでも自分でできるようになって、介護士さんの手間が省けるならそのほうがいいですよね。それに、自分でできることが少しでも増えたほうがシニア自身もハッピーだと思います。

シニアにスマートスピーカーを使って欲しいなら、お友達に勧めてもらうこと

私がコンピューターおばあちゃんになったのは、シニア向けのサイトメロウ倶楽部に所属したからですよ(笑)。このサイトを通じて私はたくさんのお友達ができました。

メロウ倶楽部のトップページ

メロウ倶楽部会員のためのFacebookグループがあるのですが、ここにAmazon Echoを購入したお友達が、Echoを使っている様子を動画付きで紹介したんです。しかも、この投稿にはコメントが56個もついてました! このように、新しいことが大好きなお友達が周りにたくさんいるから、私も自然と新しいことに興味が湧くんです。

みんなのコメントが面白いの。「(Amazon EchoのAIアシスタントの)アレクサちゃんはお姉さんかおばちゃんかどっちだろう?」ですって(笑)。こういうお話をお友達とできるのが楽しいでしょ? 

そうそう、このAmazon Echoを購入したお友達は、私が”8月22日”に行う公演にいらしてくださることになったとき、「”8月22日”に公演があることをAmazon Echoに覚えさせました」とおっしゃっていました。そういう使い方も便利ですね。たとえば、「明日は胃の検査がありますから、朝から何も食べてはいけません」と、前の晩にスマートスピーカーに教えてもらえたら忘れずに済みますものね。

シニアにスマートスピーカーを使ってもらいたければ、お友達から勧めてもらうのがいいんじゃないかしら。同世代と使い方について話しているうちに、スマートスピーカーの面白さに気づいて、スマートスピーカーを試してみようという気持ちになったり、すでに持っている方は使い続けるモチベーションが湧いたりすると思います。

それにシニア同士ですと環境が似ていますから、お互いに役立つ情報を持っています。若い人にはどうってことないように見える情報でも、シニアにしたら大事なこともあるんですよ。

この間、自撮り写真で有名な写真家の西本喜美子さんと対談をしました。西本さんは息子さんからロボットのペッパーくんをプレゼントしてもらったそうなのですが、あまり使ってないとおっしゃるの。その理由を博多弁が通じないからと説明されていました(笑)。

スマートスピーカーも今は標準語しか通じませんが、方言はつい出てしまうものですよね。関西弁なら「はよーしてんか」、「なんぼや」のような基本的な表現をおさえてくれたらいいですね。方言が通じるようになったら、シニアもロボットやスマートスピーカーに馴染みやすくなると思います。

企業にもシニアはいるはず。身近なシニアの意見を聞いて

以前幕張メッセで開催されたデータショーに行ったとき、大企業の偉い方から「若宮さんにシニアの意見が聞きたい」と話かけられました。そのとき「あなた、おじいちゃんおばあちゃんはいますか?」とお聞きしました。「います」っておっしゃるから「意見は聞きましたか?」と言ったら、「いいえ、忙しくて会いにいけません」とおっしゃる。「祖父母は地方にいて会いに行きたくても休みがとれません」ですって。

おかしな話だと思いませんか。私は「データショーに来ている私みたいな年寄りは特殊ですから参考にならないと思いますよ」とお伝えしました。

IT企業ではエンジニアが歳をとると他の部署に異動になると聞いたことがあります。ですがシニア向けの製品をつくりたいなら私のところに聞きにいらっしゃるのではなくて、その方たちにまずお聞きすることをお勧めします。企業の中にもシニアはいるはずですのに、企業はそれに気づいていないのではないかしら。

ただシニアのほうも意見を発信するのが苦手かもしれません。公開されている掲示板に意見を書き込むことはあまりないように思います。クローズドな掲示板で「やっぱり設定が難しい」といった話をしていますが、これでは企業に声が届きませんよね。シニアも企業に伝えるべきですし、企業の方も身近にいるシニアに意見を聞いてもらえると嬉しいです。

  • 若宮正子氏プロフィール
    1935年生まれの83歳。高校卒業後に都市銀行へ勤務。定年後にパソコンを独習。81歳でリリースしたスマホゲーム「hinadan(ひな壇)」でWWDC2017に招待され、世界的に知られる存在になる。「有り余っているものは”好奇心”、足りないものは”時間”です」とのこと。

マーチャンの書籍はこちら▼

マーチャンが開発したhinadanアプリはこちら▼

Apple WWDC2017の動画はこちらから(マーチャンの紹介は6:00頃)▼

SmartHacks Magazine 編集部

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