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AWSコミュニティ(JAWS-UG)にてアレクサ勉強会を主催。オランダ在住のスキル開発者 伊東氏に聞く。

日本でAmazon Echoが発売される前から、AWSのコミュニティでAlexaに関する発表などをされていた伊東知治氏。株式会社Secualとのスキル・デバイス開発などを経て、現在は多言語のニュースを翻訳して読み上げるAlexaスキルの開発などをされています。

連載「スキル開発者に聞く」第4回では、そんな伊東氏にSecual様との開発の経緯やオランダのIoT事情、開発にかける想いを伺いました。

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プロフィール

お名前:伊東 知治(いとう ともはる)氏
お仕事:プログラマー

開発したスキルとアプリ:
①「DutchNews.nl」は、オランダのニュースサイト「DutchNews.nl」の最新トピックとその要約を聞くことができるニュースブリーフィングスキルです(アメリカで公開中)。

「DutchNews.nl」の詳細はこちら▼

②「TINMS latest updates」では、伊東氏のブログ「TINMS BLOG」の最新情報を、英語で聞くことができます(アメリカで公開中)。

「TINMS latest updates」の詳細はこちら▼

③「Secual(セキュアル)」は、株式会社Secualが開発したスマートホームセキュリティ「Secual」をコントロールするAmazon Echo対応Amazon Alexaスキルです。

「Secual」の詳細はこちら▼

在住するオランダの情報を発信したい

ーー本日はよろしくお願いします。はじめに、今まで開発されたスキルについて簡単に教えてください。

伊東 知治氏(以下、伊東氏):オランダのニュースサイトの最新情報を教えてくれるスキル「DutchNews.nl」、私のブログ情報を英訳して聞くことができる「TINMS latest updates」、株式会社Secualさんと一緒に開発したスマートホームスキル「Secual」の3つを開発しました。

ーーまず「DutchNews.nl」についてお伺いしたいのですが、どうしてオランダのニュースサイトを選ばれたのでしょう?

伊東氏:実は今私はオランダに住んでいまして、「オランダの情報を色んなところに発信していきたい!」という思いがあったんです。「せっかくAlexaを持っているので音声で発信するのもいいな」という考えもありました。

ーー何故オランダに?

伊東氏:3年前ぐらいに突然「私たちオランダにいけるかもしれない」と妻から提案があったんです(笑)オランダは日本からだと比較的ビザが取得しやすいんですよね。私もその頃AWSコミュニティにジョインしだしたころで、気持ちが外向きになっていました。

そこで会社を退職し、フリーランスとしてやっていきながらオランダへの移住を検討していったんです。1年ほど日本でフリーランスを続けたあと、オランダに下見に行って移住を決意しました。

ーーすごいですね。その後「DutchNews.nl」のスキルを開発されたという訳ですね。

伊東氏:はい。DutchNews.nlとは特に繋がりがあった訳ではないのですが、トピックがわかりやすく、コンテンツも気に入っていたので、Alexaスキルを公開する許可をもらおうと思い切って突撃したんです(笑)連絡して3日ほどで許可をいただき、その後スキルをAmazonに申請して公開されました。

日本語を翻訳して、言語間を飛び越えたスキルに

ーーご自身のブログ情報を聞くことができるスキル「TINMS latest updates」についてもくわしく教えてください。

伊東氏:「TINMS latest updates」は、私が以前書いていたブログ「TINMS BLOG」の記事をAlexaが読んでくれるというスキルです。「TiNmS」は日本の事業主として使っていた屋号なので、現在はオランダの事業主「hugtech.io」として別の屋号で活動しています。

日本語の記事と英語の記事が混在するブログですが、アメリカで公開しているので、日本語の記事であればAlexaは英語で読んでくれます。

ーー日本語のブログなのに英語で読む……?どういうことでしょうか。

伊東氏:スキルの中にGoogleの翻訳APIをはさむことによって、日本語のブログを自動翻訳してAlexaに英語で読ませているんです。自動翻訳なので完璧とはいきませんが、かなり高い精度で翻訳することができます。

ーーそんなことが可能なんですね。技術的には難しいのでしょうか?

伊東氏:そうでもありません。フラッシュブリーフィングスキル自体は、単純なテキストを配信するRSS Feedを配信しているサイトであれば、ほぼノーコーディングで作ることができます。もっと自然に会話してほしいと考えると多少のプログラミングは必要になりますが、このスキルだと完成にかかった期間は2日ぐらいでしたね。

ーー短いですね。なぜ翻訳しようと思われたのでしょう?

伊東氏:言語間を飛び越えたスキルが作りたいという思いがありました。せっかく海外に住んでいることですし。だから、先ほどお話した「DutchNews.nl」も同じように日本語版を作るつもりです。できれば4月中に開発したいですね。

ーーオランダのニュースサイトの情報を日本語でAlexaが話してくれる……まさしく「言語間を飛び越えたスキル」ですね。

コミュニティでの発表からSecualの開発へ

ーーもうひとつ開発されたスキル「Secual」ですが、こちらは株式会社Secualさんの依頼でスキルを開発されたと思います。どのような経緯で開発されたのでしょうか?

伊東氏:AWSのコミュニティ(JAWS-UG)での活動をきっかけに、Secualさんを紹介していただいたのがはじまりでした。「Alexaで何かスキルをつくりたい」と思っていたSecualさんが、AWSに相談されていたんですね。そこで、「Alexaを開発できるフリーランスが神戸にいる」ということで、私を紹介してくださいました。

ーーAWSのコミュニティ(JAWS-UG)ではどのような活動をされていたのでしょう?

伊東氏:Alexaを体験してもらうことと、みんなで自作しよう、という2つが私の中で大きなテーマだったと思います。その頃私はAlexaをRaspberry Piに入れて色々試してみることに情熱を燃やしていて、AWSのコミュニティ(JAWS-UG)でもそういった勉強会などを主催していたんです。たとえば、Raspberry PiにAlexaをインストールして、それをプリングルズの空き筒につっこんだ「自作Alexa」を作る勉強会ですとか(笑)

自作のAlexaを動かしているところ▼

ーーなるほど。Secualさんからのご相談は、どのようなものだったのでしょうか。

伊東氏:「Alexaをオリジナルのデバイスに組み込めるのか?」というお話でした。「自作Alexa」を作っていた私の回答はもちろん「YES!」。おそらく小さなデバイスになるだろうと考え、当時日本では発売されていなかったRaspberry Pi Zeroを輸入して開発しましたね。

ーーでは元々はスキルではなく、デバイスを開発するというお話だったんですね。

伊東氏:はい。そうしてSecualさんと共に開発している最中に「Amazon Echoが日本に上陸する」という話が広がってきたので、Secualとして何か出したいという話になりました。デバイスはAmazon側の審査も結構厳しく、クリアするには時間やコストも結構かかります。そこで、まずはスキルを公開することになったんです。

ーースキル開発の面ではどういった点に苦労されましたか?

伊東氏:やはりセキュリティ面が一番のネックでした。Secualさんの商品はホームセキュリティ製品なので、誰でもオンオフができると当然ですが困るんですよね。当時のAlexaには、まだ個人の声を識別するなんて機能もなかったので。

その頃はちょうどアメリカでもスマートロックが話題になり始めた時で、「間違えて開けてしまった」というようなニュースも流れ始めていたんです。セキュリティ面には最大限気を付けなければいけない。色々と試行錯誤して、最終的にはパスワードを設定できるようにしました。

当時のスキルの中では、PINコード対応してアンロックを実装したのは、私が見ていた限りだとSecualだけだったように思います。

オランダのIoT事情

ーー現在オランダにお住まいとのことですが、オランダではIoTの導入は進んでいるのでしょうか?

伊東氏:私もそれほど生活していて肌で感じた訳ではないのですが、IoT自体は結構盛んなように感じます。ビルなどにIoTのセンサーを入れたりですとか、新しい建造物には積極的に導入しようとしている印象が見受けられます。

ーーオランダでは、まだスマートスピーカーは発売されていないんですよね。

伊東氏:はい。ただ話題には上がっていますよ。ガジェット系の雑誌などには特集が組まれていたりもしていますね。雑誌はやはり「Google VS Alexa」のような対抗形式で描かれることが多いです。パラパラめくっていると、雑誌などではGoogle優位な印象を受けますね。

ーースマートスピーカーが発売されたら、どのように使われると思われますか?

伊東氏:個人的には、オランダでは家庭よりもビジネスで使われそうだと思いますね。たとえば企業の受付をスマートスピーカーにしたりですとか、観光案内、駅のインフォメーションなど、音声AIアシスタントとしての機能面に焦点が当てられていきそうに感じます。

ーー何故そう思われるのでしょう?

伊東氏:オランダの空港や銀行などを見ていて思うのですが、人が担う仕事が少ないんですよね。たとえばオランダの航空会社「KLMオランダ航空」は、コンタクトサポートがすぐにFacebookメッセンジャーのチャットボットに変わりました。手荷物の預かりなども乗客自身が行う無人システムになっているのですが、こういったサービスは他の航空会社では見たことがありません。

オランダは、テクノロジーを使ってどんどん機械に任せる風土が強いんじゃないかなと思います。スマートスピーカーもまずはビジネスで導入を検討され、早い段階で実行に移されていくのではないでしょうか。

発表に詰まった楽しさや喜びは、伝わる

ーー本日はありがとうございました。最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

伊東氏:そうですね……。スマートスピーカーって、最初からすぐに「お、これ便利だな」って気付くことは意外と少ないと思うんです。私もそうでしたから。最初は音声AIアシスタントも未熟ですし、私たちも探りながら話しかけているのでしどろもどろで、あまり会話はできないと思うんですよ。特にまだ日本語Alexaは来たばかりですしね。でもお互いに成長して理解していって、ある日ふと気づくんです。「声で何かを操作できること」の便利さに。

たとえばこうやってインタビューを受けていて、両手がふさがっていたとしても「Alexa、音楽かけて」の一言で操作できる。コーヒーを淹れていて残りのストックが少ないなと気付いたら、コーヒーを淹れながらでも「Alexa、コーヒー頼んでおいて」で注文できる。そういった些細なことで、ふと便利さに気付くんですよね。

だから私からのメッセージとしては、「Alexaを使い続けてほしい」。もっと言えば、「ちょっと我慢して使い続けてほしい」(笑)こちらがお願いしたことが上手くいかなくても、「可愛いやつだな」と思って使い続けていってほしいですね。

ーー開発者の方々にはどうでしょうか?

伊東氏:私はJAWS-UGの勉強会ではじめてAlexaを知りました。その頃日本ではAmazon Echoを購入できなかったので、Raspberry Piで自作してみたんです。その経験が私にとっては衝撃的でした。たった一週間ぐらいで、自分の声に反応してくれるデバイスが目の前にできるんですよ。「こんな楽しい体験はない」と思ったんですよね。それで、勉強会でみんなとAlexaを触りだして、発表も始めた。

Secualさんとの話も、コミュニティで発表していたからいただけたお話なんですよね。もちろんビジネスになるかどうかは副次的なもので、必ずある訳ではありません。ただ、アウトプットしないと絶対に話が来ることはないですし、大きなコミュニティは見てくださる方もたくさんいます。お仕事につながる可能性も、大きくあると思います。

何かを開発して、それを発表する。その発表には楽しさや喜びが詰まっていて、そういうのは伝わると思います。だから是非、コミュニティで発表してほしいです。

ーーありがとうございます。今後も楽しみにしています。

SmartHacks Magazine 編集部

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