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「プラットフォーム大変革期の今、ライセンスビジネスの知見をVUIに生かす」株式会社サイバードに聞く。

モバイルインターネットの始まりと同時に創業され、今年20年目を迎える株式会社サイバード。これまでモバイルコンテンツやアプリ提供を行ってきた同社は、2016年の段階でスマートスピーカーを「次のプラットフォーム」として見据え、VUI(ボイスユーザーインターフェイス)に本格的に取り組む準備をしてきたといいます。同社のVUI戦略についてお伺いしました。

左から開発統括本部NewBiz開発統括部Voice UI部 副部長 プロデューサー・Voice UI/UXデザイナー 元木理恵氏、同Voice UI部 部長 プロデューサー 根岸秀樹氏、コンテンツ事業本部コンテンツ第2事業部 川崎達也氏

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現在はUI・UXの大変革期。プラットフォームの主戦場が変わる

ーー声優さんを生かしたスキルや占いスキル、雑誌のフラッシュブリーフィングスキルなど、多様なスキルを開発されています。こうしたスキルを開発されたきっかけを教えてください。

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根岸秀樹氏(以下、根岸氏):当社は1998年、モバイルのキャリアプラットフォームビジネスをきっかけとして創業しました。最初の約10年間はキャリア公式月額サイトが主力事業だったといえます。その後、スマートフォンの普及と共にいわゆるフリーミアムモデル(基本サービスを無料で提供し、高度な機能の提供は課金する仕組み)での事業を核として適応変化してきました。そして今後はまさにスマートスピーカーなどVUIによる新しいソリューションが市場を産み出す第3フェーズを迎えつつあると考えています。

我々のようにデジタルコンテンツビジネスに関わる事業者にとって、主戦場のプラットフォームが何たるかを理解し、何を成すべきかは命題といえます。当然海外でのスマートスピーカープラットフォームの立ち上がりやVUIによる新しいUX(ユーザーエクスペリエンス)は、ゲームチェンジを予感させるには十分なものでした。

ちょっと気は早かったのですが、VUIを視野にしたプロジェクトを2016年2月の段階で計画していたんです。早い時期からVUIに注目し情報を収集し知見を入手していた甲斐もあって、AmazonさんやGoogleさんが日本市場に参入するタイミングで、ローンチパートナー企業としてサービスをリリースすることができました。

事業として現在は直接的なマネタイズはありませんが、この大きな変革期に知見を獲得することこそ中期戦略の大きなアセット(資産)になると考えています。

たとえば、現状ではVUIと言ってもトリガーが音声コマンドになっているだけですよね。今後は個人認証としての声紋認識がより高度に導入され、お金の流れも、人の流れも、サービスの流れも、多くをVUIがトリガーになるような時代が遠からず来るでしょう。そういった時にサイバードが第一人者になっていたいよねというのが、これらのスキルを開発してきた最大の理由です。

ーー2年前から仕込んでいられたのはすごいですね。

根岸:はい、2017年初からはVUIに関してスマートスピーカーをターゲットにしてCEO投資予算(社長権限で配分できる特別投資予算)をとりにいきました。この1年は社長の大きな後ろ盾を得て進めたので、いろいろと挑戦させてもらいました。

VUIの可能性を探し、知見を得て、使われ方を知る

ーー投資予算をとられて、どのような挑戦をされましたか?

根岸:次の3つをするべきことにしました。①事業におけるVUIの「可能性」を見出す、②サービスを創るプロセスでVUIの「知見」を得る、③サービスを提供することでVUIの「使われ方」を知る、です。

画像出典:CYBIRD

根岸:知見については、サービス毎にどのような知見を得たいのかを予め決めて開発しています。たとえば「なみある?」は、サーファーというターゲティングされたセグメントを対象に気象情報をお伝えするサービスなので、高いフリークエンシー(頻度)で繰り返し使ってくださるお客さまが多くいらっしゃいます。これは、従来のデジタルコンテンツビジネス=サブスクリプションモデル(定額制)に紐づいたお客さまがどのようにVUIを利用されるかを理解するために取り組みました。

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それから、鏡リュウジ先生の占いスキル。これは「今日の恋愛運」を占うもので主に女性をターゲットとしています。同時にコンテンツジャンルでも不変の「占い」というサービスでのPoC(概念実証)でもあります。

この開発によって得た知見はとても多くて、たとえば膨大な占い結果のTTS(テキストtoスピーチ)を効率的にデバックする(バグを発見し修正する)手法を確立してSSML(音声合成マークアップ言語:HTMLのようにスマートスピーカーで流れる合成音声の喋り方を決めるもの)で修正を対応しました。

また誕生日の発話がトリガーになっているので、366日の日付の「呼び方」を徹底的にパターンを洗い出して実験しました。1日なら「ついたち」「いっぴ」「いちにち」などと多様な受け方が膨大にあります。

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ーースキル開発の裏に意図があるんですね。

根岸:はい。「なみある?」は川崎が担当ですが、その他はほとんど元木です。

ーー川崎さんは、サーフィンがお好きだったんですか?

川崎:いえ、わたし自身はやらないのですが、去年の夏にサービスの改修のためになみある部に配属になりました。「なみある?」は当社の中では古くからある情報サイトで、それをVUI化するのが配属後の初仕事でした。

公式サイト:「なみある?」

「Voice UI/UXデザイナー」の肩書きを名乗るまで

ーー元木さんは「Voice UI/UXデザイナー」という肩書きでいらっしゃいます。VUI(ボイスユーザーインターフェイス)/VUX(ボイスユーザーエクスペリエンス)のデザイナーはこれから必要になる職種だと思うのですが、どのようなご経歴でなられたのですか?

元木:もともとは全然別の業界にいました。ものづくりがしたいと思ってサイバードに転職をし、キャラクターやサービスの正規ライセンサーとしてコンテンツに仕上げるという仕事を主に担当して、12年経ちます。その中で難しいなと思っていたことが1つありまして……それがデザインです。

デザインって「これはいい」とか「これは好きじゃない」とか、判断に感覚が混ざりますよね。BtoBの仕事であれば担当者がいて、提案に対し、その担当者の方から「これは好きじゃないからダメ」と言われることがある。担当者の好みに左右されてしまうことが多々あるわけです。それに対して「正解がないな」とずっと思っていました。

ただ、音声プラットフォームには「正解があるんじゃないか」と思ったんですね。

私はシナリオの学校に通ったことがありまして、言葉を扱うことや人に音声で何かを伝えることにすごく興味があるんです。だからこの仕事も自分に合っているんじゃないかな、と。VUIデザイナーも名乗らせてくれと言って、無理やりつくってもらったポジションなんです。

根岸:うちはそういうフレキシブルな会社なんです(笑)

元木:こういう新しい分野だからこそ、きっちり名乗っている人がいた方が対外的にも安心していただけるのではないかと思っています。自分が名乗った方がいいだろうと思って名乗らせていただいています。

ーーなるほど。初めてVUIデザイナーの方にお会いしましたが、頼もしく感じます。

キャラクターの重要性とは?

根岸:当社の強みのひとつは、キャラクターライセンスビジネスをやってきたことです。キャラクターは匿名大多数とのコミュニケーションにおいて非常に有効な手段なんですよ。

たとえば、キャラクターによるユーザーの「対応の変化」というのがあるんです。下の図はオンラインチャットのカスタマーサポートの写真を「女性」、「男性」、「セクシーな女性」、「ネコ」の4つに変えた結果、罵り(オレンジのグラフ)とセクハラ(青のグラフ)が送られてきた件数を示したグラフです。

画像出典:Kapwing Blog

男性の写真にすると罵りが減ってセクハラは消えます。女性は2人とも罵りもセクハラもぐんと上がり、最終的にネコに落ち着くんです。人間はネコを罵れないんですよね。こういうことからもチャットボットであれ、スマートスピーカーであれ、キャラクターをエージェント(媒介者)としてAIアシスタントに仕立てていくことはひとつの手段として有効だと思いますね。

ーーこれはすごい違いですね。キャラクターを媒介にすることでコミュニケーションがやりやすくなりますね。

根岸:スマートスピーカーではよりキャラクターが大切になるといいますか。音声AIアシスタントが面白いなと思うのは、絶対みなさん一度はアシスタントを罵っているんですよ(笑)思い通りに動く動かないは別にして。

ーーわかります(笑)

根岸:さきほどのグラフの傾向から読み取れるのは罵るのはアイコンのその先にある「人格」に対してなんですよね。GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス:タッチパネルなどヴィジュアルを用いるユーザーインターフェイス)はそれ自体に「人格」を求めないので性別もなく、リンク先を罵ってもGUIを罵ることはなかったじゃないですか。つまり音声AIアシスタントは「人格」として見られているんです。

「人格」としてコミュニケートするからには、受け答えだったり性格だったり、コミュニケーションをどう設計するのかということが非常に大事で。

そのために我々はこれまで女性向け、男性向け両方のスキルをつくってきたんです。ここから今後VUIの基礎となるコミュニケーションの形が導けると思います。意外と考えていると思いません?(笑)

VUIのセオリーはもう出来ている

根岸:我々は早期にスキル開発を始めたので苦労も多かったんです。ただ、たくさんの経験をしているのでVUIをどう組み立てるべきかというセオリーができています。

ーーどのスキル開発者に聞いても、会話を成立させることが難しかったとおっしゃいます。

根岸:どう会話をナビゲーションをしていくのかというのが大切ですよね。どういう風にダイアログをフローに落としていくかということと、そこで最もストレスがかからない使いやすい方向に自然に誘導していくことです。あとは「時間」ですよね。結局GUIと違って数秒で多くは伝わらない。でもUIを隅々まで伝える設計するには、時間の制約がある。丁寧にすればするほど時間がかかってしまいます。これをどう効率的に設計するかというのが成否のカギです。

たとえば、「鷹の爪団の吉田くんが時間教えちゃうぞ!」スキルでも採用しているやり方なのですが、ユーザーの状態によりスキルの始まり方を2つ設定してあります。初回起動のユーザーにはスキルの使い方を丁寧に説明して、2回目以降の起動のユーザーには説明が省かれています。

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あと発話を受け取るという仕組みで逃げられないのは、日本語の発音の問題ですよね。たとえば、神戸は「こうべ」ですが、実際は「こおべ」や「こーべ」と言う人の方が多い。我々はスキルを沢山開発してきたのでそのような知見も蓄積できました。

それから、先ほどお話したコミュニケーターとして間に立つAIエージェントとしての「キャラクター設計」です。たとえば「椎名乙葉」というエージェントとしてのキャラクターは、VUIプラットフォームでビジネスをするための媒介者として、まずは自分たちで自由にいろいろ試せるライセンスが必要だろうというところから開発をしています。そこでAIエージェントとして王道の「ハイティーンの女性キャラクター」という大枠を決めました。

「乙葉の時間」の詳細はこちら▼

「委員長・椎名乙葉 時間ですよ」の詳細はこちら▼

こういう趣旨でこういうサービスをつくりたいと言うと元木が形にしてくれます。

元木:はい。キャラクタービジネスをやってきた知見が生きていますね。

根岸:ターゲットに合わせて、どういう時にどういう発言や行動をする人なのか完全に決め込んでいきます。経歴・生活環境・性格・口調などを相当細かく決めていきます。また顔の造形も俯いた時の顎の角度ですとか、いくつも案をあげて決めていきます。

他社様からキャラクター・ライセンスとして問い合わせも来ましたし、今後のライセンス展開やチャットBOTとしてのキャラクターの知見として活用していけるかな、と思っています。

ライセンスビジネスをやってきた強みを生かす

ーー声優さんを使ってスキルを開発されています。スマートスピーカーのスキルの開発者からは声優さんを使えたらいいのに、という声をよく聞きますが、普通はライセンスが壁になって叶いません。

根岸:そうですよね。幸い当社には声優が社内にいるので(笑)声優と一緒にスキルを開発したことで、プラットフォームが提供している音声合成エンジンを使わないスキル開発の「型」ができました。

たとえば初期は、スキルにおける「呼び出しフレーズ」が日本語環境でどうなるのかわかりませんでした。呼び出しフレーズが想定と違う言葉だったら再収録しなければならなかったんです。社内リソースだけで「椎名乙葉」のスキルづくりをやり切ったことで、次に「鷹の爪団の吉田くん」にトライすることができましたし、その結果もあって活躍されている人気声優さんと一緒に「イケメンヴァンパイア」シリーズのスキルをつくることができました。

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ーーイケメンシリーズは人気ですよね。

根岸:我々はVUIプラットフォームをデジタルコンテンツサービスのインフラとして、どう活用しようかというのを常に考えています。そもそも時間系のスキルって必要ないですよね(笑)Google HomeもAmazon Echoもデフォルトで時間を答えてくれるので。キャラクターに時間を聞くのは“きっかけ”であって、コミュニケーションとしてキャラクターがエージェント(媒介)し、会話が成立するのが最終的な目的です。だから時間以外のことをたくさん喋るスキルになっています(笑)。

元木:「イケメンヴァンパイア」スキルには隠しコマンド的な条件設計があって、条件が揃うと通常とは違うことを喋りだします。何を言うかはかなりこだわりました。もともと「イケメンヴァンパイア」は、アプリの恋愛ゲームなんです。そのシナリオを全部もらってイチから読みました。その中から、これは外せないなっていうセリフをピックアップしています。

ただ、それだけだとゲームと一緒ですから、その他にキャラクターが言いそうなセリフを100個くらい考えてゲームの開発チームに監修してもらって「これはダメ」、「こういうことは言わない」、「これはイケる」と判断してもらいました。

根岸:社内ライセンスですが、監修は社外ラインセンスと変わらないですね。

元木:やっぱり厳しいですね。キャラクターがブレないように「これは言う」、「これは言わない」というのは本当に厳しく見られています。

ターゲットとサービスによって使われるデバイス変わる

根岸:VUIの使われ方についてですが、「乙葉の時間」のGoogle Assistant版がとてもわかりやすいです。まずデイリーアクティブユーザーとして「乙葉の時間」はリリース以来安定して使っていただいています。

「乙葉の時間」のデイリーアクティブユーザーの数。画像出典:CYBIRD

ただ面白いのが、Google Homeで使われているときはモバイルが落ちて、モバイルが使われているときはGoogle Homeが落ちます。入れ替わるんですよね。多分Google HomeのそばにいるときはGoogle Homeに話しかけていて、そばにいないときはスマホに話しかけているんだと思います。

「乙葉の時間」を立ち上げているデバイスは、Google Homeとスマートフォンが反比例で入り乱れる。画像出典:CYBIRD

サービスによってスマートスピーカーとの接点は変わっていくということがよくわかる事例だと思います。「乙葉の時間」は時刻を聞くだけなのですが、彼女のパーソナリティーがわかるような一言を長めに喋ります。結果的にユーザーの使用時間も長くなりますが特にGoogle Homeだと接触時間が長いですね。家でゆったり聞ける時にGoogle Homeを使っているのだと思います。

「乙葉の時間」の会話の長さ(平均)。画像出典:CYBIRD

一方「なみある?」も安定して人気があるのですが、立ち上げているデバイスは圧倒的にGoogle Homeよりもモバイルが多い。サーファーは家にいないんでしょうか(笑)。

「椎名乙葉」と「なみある?」は、ターゲット設定とサービス内容が違います。だから、使われるデバイスも会話の長さも異なるんですよね。どこで使われるのか、家なのか、外なのか、リビングなのか、オフィスなのか、電車の中なのか。そういうことからも、VUIの設計思想が変わってくるのがわかります。

フラッシュブリーフィングスキルもただのRSSにはしない

ーー他社のフラッシュブリーフィングスキルを開発されていますよね。

根岸:ダイヤモンド・オンラインさんとサイゾーさんとのフラッシュブリーフィングスキルをつくっています。単純にRSSを引っ張れば簡単なのですが、敢えてそれはしていません。もちろんRSSを使ったライセンス契約で提供させていただいているのですが、そのままやってしまうと聞きにくいニュースになってしまうからです。

たとえば、ダイヤモンド・オンラインさんはビジネスシーンにフォーカスしたメディアですし、サイゾーさんは主に芸能系の話題を得意としたユニークなメディアです。使われる曜日や時間や頻度やパターンは明らかに異なります。

そういうメディアごとの特性を踏まえた上で、RSSの最適値は何だろうという議論から始めています。たとえば、フラッシュブリーフィングの記事はタイトルを読まないのがデフォルトですが、タイトルのない記事は違和感があると思うんですよね。なのでタイトルも含めて説明が読み上げられるようにつくり変えています。

また、1つの記事についてどれくらい読み上げるのが適切かということもすごく議論と実験をしました。文字なら何文字までで、時間なら何分なのか。短いとシンプルでいいと一見思われるのですが、聞き手に「それで何?」と思われかねない(笑)

内容によっても最適値は変わってきます。芸能ニュースはそれほど興味がない内容でも、多少長く聴いてもストレスにならないんです。ただ、政治経済のニュースは同じ文字数でも長く感じるんですよね。そういうところをご提案させてもらってつくり込んでいます。

ーーそこまで考えていらっしゃるとは、想像もしていませんでした。

「ダイヤモンド・オンライン」の詳細はこちら▼

「サイゾー」の詳細はこちら▼

根岸:単純にはやっていないんです。タグを読んじゃったりね。そういうことがないようにしています。

元木:つないだだけだなと思われるようなフラッシュブリーフィングスキルはつくらないようにしています。

根岸:サイバードは有料情報サービスから始まっていますので。たとえば、「なみある?」は何周年ですか?

川崎:2018年度で20周年です。

根岸:有料情報をインターネットの世界に持ち込んで20年やっている会社は歴史上少ないと思います(笑)そういった有料情報をBtoCとしていかにコミュニケーションデザインするべきかということを、会社としての知見をたくさん持っています。近年サイバードの大きな事業になっている恋愛シミュレーションゲームもその肝は「会話」なんです。「会話」というコミュニケーションデザインよってサービスを形づくっています。

つまり、我々は自身をコミュニケーションデザインカンパニーだと思っています。きちっと体系立てたうえでサービスに適したコミュニケーションを形づくり、それをUI/UXに落とし込みます。真剣なんです。

これからのマネタイズと未来について

ーーたくさんの経験を積まれてきたと思います。ここから先はどこに力を入れようと思われますか?またマネタイズについてはいかがでしょう?

根岸:まず、企業のコンサルティングを含めボイスコミュニケーションをつくるお手伝いができると思っています。

それ以外にもマネタイズとして広告がありますが、広告に関してはそれぞれのプラットフォーマーさんが相当慎重だなと感じます。USでもいろいろな事象が起こって、ニュースにあがっていましたよね。なおかつ、広告が物を買わせることに直結した場合、すごくセンシティブです。期待されるADネットワーク的な広告ビジネスはちょっと先かなと思います。

一方でUSのAmazonでは、「Jeopardy!」、「Heads Up!」、「Ultimate HISTORY Quiz」、「Match Game」などはプライム会員と連動して実質的な有償価値の提供が始まっていますね。今現在は限定的ではありますが、コンテンツの有償化はVUI/UXをより拡大させるという意味でも期待できると思っています。

ーー今後スマートスピーカーはどうなると思われますか?

根岸:スマートスピーカーはVUIを使ったチャネルの1つですよね。日本に来ていないスマートスピーカーもたくさんありますし、スマートディスプレイも出てきました。普及が進むことで、それまであったスマートスピーカーが違う部屋に押し出されていって最終的には住宅や車などあらゆる場所で複数台設置されてるなんてことになると思います。

クラウドサービスという側面では、きっと最終的には声紋認証が発達してIDとパスワードはいらない世界を目指すのだろうと思います。音声をトリガーとしてパーソナライズ化されたオンデマンドなサービスの提供が始まった時に何が可能になるか。

その場にさまざまなVUI機器があることで、たとえば会議室で会議をしていたら、参加者個々のアカウントで、それぞれが良いと思っているプラットフォームに紐づいて議事録が取られるということが可能になる。それぞれの発言がアカウントベースで個別に記録されたりというのがIDとパスワードなしでできるわけです。

ーー面白いですね。そこまでの世界になるのは時間がかかると思いますが、どれくらいで日本においてスマートスピーカーというかVUIが当たり前になってくると思いますか?

根岸:日本人って否定から入りませんか?アプリにおけるレビューをオープンすると星が一番少ないのが日本だと言うじゃないですか。評論させると必ず評価が下がるのが日本なんですよね(笑)だから、スマートスピーカーに対してもネガティブな反応はちゃんと起きますよね。

一方でアメリカで2017年の年末で16%の成人所有率までいって、キャズムを超えたと言われています。この3月で約20%の成人所有率に到達したという話もありますし、同等の現象が日本で起こるなら、ここ1〜2年でキャズムを超える可能性が高いです。

2020年に向けての投資がどう行われるのかというのも大きいと思います。VUIxインバウンドみたいな仕組みが認知かつ利用されていくとしたら、キャズム超えは速いでしょうね。

とはいえ、日本がどうなるかはわかりません。Telegramが来たわけでもないし、WhatsAppが来たわけでもない。LINEがモバイルコミュニケーションの中心になったのが日本じゃないですか。ですから、どのようなプラットフォームが日本のシェアを獲得しても、コミュニケーションデザインカンパニーとして最適に対応できるようにしておこうと思っています。

ーーこれからが楽しみです。どうもありがとうございました。

SmartHacks Magazine 編集部

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