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数少ない日本のIoT企業「Qrio株式会社」に聞く、「Qrio Smart Lock」開発までの道のりとIoTに対する想い

昨年から日本でも発売されたスマートスピーカー。しかし国内向けに発売しているIoT製品自体はまだそれほど多くない。そんな中において、スマートフォンで鍵を開閉できる「スマートロック」製品を3年以上前から展開している企業が日本にも存在する。

今回は数少ない日本のIoT企業「Qrio(キュリオ)」に、製品への想いやIoTに対する考え、スマートスピーカーと連携したことによる影響を伺った。

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Qrioとは?

Qrioは”ものづくりとインターネットの力で世の中をもっと便利に、楽しくしたい”というビジョンをかかげた、ソニーグループ傘下のIoT企業である。主な製品は以下の通り。

  • スマートフォンで鍵の開閉を行えるスマートロック製品「Qrio Smart Lock」
  • 財布やキーケースなどに取り付けることで紛失時に役立つセキュリティタグ「Qrio Smart Tag」
  • 宅内に取り付けるハブ製品「Qrio Smart Hub」と「Qrio Smart Tag」をセットにした、子供の出発・帰宅がわかる「ただいまキット」

IoTという日本ではまだ馴染みの薄い技術を、何故これほどまでに早く取り組みだしたのか?Qrio株式会社の事業開発部シニアマネージャー、高橋 諒(たかはし りょう)氏(以下、高橋氏)にお話を伺った。

スマートロックを作るために会社を立ち上げた

ーー本日はよろしくお願いします。はじめに、「Qrio Smart Lock」を開発されるまでのご経緯を教えてください。

高橋氏:よろしくお願いします。では最初に弊社の成り立ちからお話します。弊社は元々、ベンチャーキャピタル「WiL」とソニーグループの共同出資でジョイントベンチャーとして2014年12月に立ち上がった会社です。

WiLは「日本から世界に誇るベンチャーや技術をプロデュースしたい」という想いを持ったベンチャーキャピタルで、WiL側の「スマートロックを開発しませんか」という提案とソニーグループ側の「IoT製品の開発を新たに行っていきたい」という方向性が一致して創業しました。昨年にソニーグループが全株式を購入し、現在はソニーグループの100%子会社となっています。

ーーということは、創業時点ですでにスマートロックの構想があったということでしょうか?

高橋氏:はい。むしろ、「スマートロックを作るために会社を立ち上げた」というほうが正しいですね。

ーー何故スマートロックに着目を?

高橋氏:元々は、投資物件として不動産を所有している賃貸物件のオーナー向けにどうか、と考えたのが始まりなんです。弊社代表の西條が個人的に不動産物件を運用していて、空室になっている物件の内見状況が気になるな、と。そういった家の状況が気になる時に、センサーなどで鍵の動きがわかると便利なんじゃないかというのが着想でした。

色々と調査してみたところ、当時アメリカではすでにスマートロック製品が発売されていました。アメリカと同じく、日本でもニーズを見出せるのではないかと考えたんです。

日本の風土にあった製品を

ーースマートロック製品である「Qrio Smart Lock」ですが、開発にあたって特に重要視された部分はどこでしょうか?

高橋氏:工事が必要ないというのが最も重要でした。Qrio Smart Lockは着想こそ賃貸物件のオーナー向けの製品でしたが、現在は一般の消費者の方向けに展開しています。工事が必要になると工事費も必要になりますので、ご自身で取り付けられてなおかつ簡単だというのが非常に大事な部分でした。

ーーたしかに、購入する側としては工事が必要だとハードルがかなり高くなりますよね。

高橋氏:はい。それに工事が必要となると他にもクリアしなければいけない問題が日本にはあるんです。

ーー日本における問題とは?

高橋氏:家具や宅内の環境を業者に頼まずに自分で行う「Do It Yourself = DIY」における認識の問題です。たとえば海外のスマートロック製品だと、鍵のつまみの部分を外してスマートロックを取り付けるという形式の製品も多いんですね。海外にはそういったDIYの文化が定着しているので、それこそ「ドアの色を変えてもいい?」のようなお話でも了承してくれる賃貸物件のオーナーも多くいらっしゃいます。

ただ、日本で同じことを行おうと思うとかなり難しいと思うんですよね。元通りにする必要がありますし、そもそもオーナーが許可してくれること自体が稀ではないでしょうか。

ーー仰るとおりだと思います。

高橋氏:他にも法律的な問題もあります。自宅のドアってそれ自体が防災用品として認定されている場合もあるんですよね。耐火ドアとして認定されているんですが、その防災用品としての試験はドアの鍵がついた状態で行われています。本当にドアを燃やして厳格に試験を行っているんです。

賃貸では、たとえば避難経路の数や廊下の幅も自宅のドアが耐火ドアか否かで大きく変わってきます。鍵を外してしまうと耐火ドアの試験が鍵がついた状態で行われている以上、日本の法律では別の製品として扱われてしまう。

ーーそういった安全性の面も損なわれてはいけないと?

高橋氏:はい。僕らの製品「Qrio Smart Lock」は後からシールのように貼り付けるので、ドアに磁石を貼り付けるのと同じような扱いです。

ーー対応している鍵はどういったものになるのでしょうか。

高橋氏:全ての鍵に対応できている訳ではありませんが、かなり多くの種類に対応しています。国内で販売しているスマートロック製品の中ではおそらく我々が一番対応できているのではないでしょうか。

ーー対応しているかどうかは、どうすれば購入前にわかりますか?

高橋氏:私たちのサイト上に情報を載せているので、それを見ていただければ購入前に利用可否がわかるかと思います。量販店等に置いているパンフレットにも載せていますね。もしご不明な場合は、玄関の鍵の部分を写真に撮ってお問い合わせいただければすぐにご回答できるかと思います。

現代のニーズに合った製品を追求

ーー御社は「Qrio Smart Lock」の次に、大事なものを無くさないために財布やキーケースなどに取り付けるセキュリティタグ製品「Qrio Smart Tag」を発売されていますよね。売れ行きとしてはどちらの方が人気なのでしょう?

高橋氏:売上は「Qrio Smart Lock」の方が好調ですが、販売台数としては「Qrio Smart Tag」の方が多いですね。

ーー製品の価格による違いでしょうか?

高橋氏:そうですね。どちらが手に取りやすいかと言えばQrio Smart Tagの方だと思います。商品としても用途がシンプルですし、価格面もそれほど高い訳ではないので。「ちょっとハイテクな雑貨」みたいな捉えられ方なのかなと考えています。

他にも直接ご購入いただくだけではなく、ソニーとTepcoさんで協力して行っている「Tepcoスマートホーム」の「おうちの安心プラン」でもご利用いただいています。こちらは「Qrio Smart Lock」や「Qrio Smart Tag」とは少し違い、ご家庭向けのサービスですね。

出典:TEPCOスマートホーム おうちの安心プランより

ーーご家庭向けのサービスのサービスといえば、御社でも「Qrio Smart Tag」と「Qrio Hub」がセットになって販売されている「ただいまキット」という製品を展開されていますよね。お子さんのいるご家庭向けということで、「Smart Lock」や「Smart Tag」とは対象のお客様が異なる印象を受けます。

高橋氏:そうですね。お客様の層が全く違うので私共としてもチャレンジ的な側面もありましたが、テレビ局などから何度か取材されるなどおかげ様でご好評をいただいています。

ーーお子さん向けのスマートフォンなども今は販売されていますが、そういった物と比べるとお手軽ですよね。

高橋氏:そうなんです。スマートフォンとは違って月額料金がかからないという点にも大きな価値があると考えています。

※セキュリティタグ製品については、こちらの記事でもくわしく解説しています▼

数十年以上培ったノウハウをIoT製品にも生かしていく

ーー「スマートロックを開発する」という想いからQrioが設立されたとのことでしたが、セキュリティタグや家族向け商品など様々なことに挑戦されていますね。

高橋氏:Qrioという会社は元々、スマートロックだけを開発する会社というよりも「IoT領域、特に家の中でのIoT製品を展開していこう」というのが前提にありました。ですので、次にどういった新規事業を行うかという気持ちは常に持っています。もちろん、新規事業という面ではIoT領域以外の製品やサービスを展開する可能性もあります。

ーーではこれからも製品ラインナップを増やしていかれるのでしょうか?

高橋氏:そのつもりです。スマートロックはあくまでも会社を立ち上げるきっかけであり、様々な種類の製品を展開していくというのが基本的な方針になります。

ーー会社を立ち上げた時からIoT領域での開発を考えられていたということですが、IoT製品に注目された理由は何でしょうか?

高橋氏:IoTはシンプルに考えるとインターネット×ものづくりです。インターネットの業界はこれまでに成功しているベンチャー企業も数多くありますし、成功スピードもどんどん速くなっていて他の産業に比べるとイノベーションが起こりやすい環境にあると思います。

しかし一方でIoTにはものづくりが絡んでくるので、これまでのインターネットベンチャーと同じ手法では立ち行かない部分もあります。ものづくりに対する理解やノウハウが必要になってくる。

ソニーグループには何十年もの期間を経て培ってきたものづくりのノウハウがあります。IoTは製品の品質や設計にそのノウハウを十分に生かせる領域なのではないか、と思っているんです。

スマートスピーカーの影響と、IoT製品のこれから

ーーQrio Smart Lockは音声AIアシスタント「Amazon Alexa」にも対応されていますよね。日本でもAmazon Echoが昨年に発売されましたが、それによって売れ行きに変化などはありましたか?

高橋氏:ありましたね。Amazon Alexaに対応してからは売り上げもかなり伸びています。

ーーやはり影響は大きいのですね。

高橋氏:そうですね。Qrio Smart Lockのような製品は元々、Amazonからの反応がかなり大きいんです。しかし、「Alexa対応商品」がまだ国内での数が少ないというのも少なからず影響していると思います。Qrio Smart Lockは日本で数少ないAlexa対応商品なので、Alexaについて調べていた方が私共の製品にたどり着くことも多いのではないでしょうか。

ーー周辺機器を開発されている側から見て、スマートスピーカーは今後どのようになっていくとお考えですか?

高橋氏:IoT製品の中心デバイスとなり、プラットフォームとして成立していくだろうと思っています。スマートスピーカーは「話しかけてレスポンスを返してくれる、何かを操作してくれる」というのが本質だと考えているので、極論を言えば音声エンジンを外したとしても価値のあるものだと思うんですよね。

それに私たちのような周辺機器のメーカーとしても、スマートスピーカーがあれだけ販売台数を伸ばしていると追従して製品を開発していきやすい。メーカー側からの視点としても、スマートスピーカーがIoT製品の中心になっていくのは間違いないんじゃないかと思っています。

ーー最後に、読者の皆様になにかお伝えしたいことはありますでしょうか。

高橋氏:スマートスピーカーは現在、使用できる機能もスマートホーム系よりアプリケーション系のほうがずっと多いですよね。それもすごく便利だなと思いますが、何かを動かしたいという興味をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。スマートスピーカーでIoT製品を動かしたいなという方はぜひ、「Qrio」をご検討ください。

SmartHacks Magazine 編集部

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