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【連載】視覚に障害を持つ僕とAlexaの日々【2】声に出すことでコミュニケーションは深まる

この連載は2年前に突然失明をした石井健介さんにAmazon Echo Dotを使った様子を綴ってもらうものです。石井さんの自己紹介については第1回をご覧ください。

「アレクサ」という言葉を舌の上で転がしてみる。するとドットちゃんはポワンと青く光るらしい。ふむ、自分では「青く光っている」ということはわからないけれど、「光っている」ということはなんとなくわかるようになってきた。とはいえ、かなりの近距離にいる時は、という条件付だけれど。(注1)

スマートスピーカーを使い始める時、機械に話しかけることに抵抗がある人がいると聞いたことがあった。なるほど、そういうものなのかと僕は思った。
 
僕は目が見えなくなって、前回お話ししたiPhoneのボイスオーバー(画面上の全てのテキストを音声で読み上げる視覚障害者向けの機能)を知る前から、どうにか自分でiPhoneを使いたくて徹底的にSiriを使って音声で操作していた。ボイスオーバーを使い始めてからも、文字を入力するときは音声入力を使っていたので、声で機械を操作するということに対して慣れはあっても抵抗はなかった。

さて、機械に話しかけることに抵抗がある人は何がそうさせているのだろう? と僕は考えた。そこには「視覚」が大きく関わっているのではないだろうか、と察する。
 
きっと「アレクサ」や「OK Google」などのウェイクワードを声に出す時に対象物であるスピーカーを見ているのではないだろうか。すると自分が無機質な物体に向けて話しかけている、ということに疑念というかある種の愚かさを感じてしまうのかもしれない。もしくは独り言を言っているような恥ずかしさを感じるのかもしれない。

僕の場合は「視覚」を使っていない分、その抵抗感はなくなる。対象物が見えていない状態で話をすることは僕の日常だからだ。

スマートスピーカーに話しかけることに抵抗を感じている人に1つご提案。普段は目を開けてしている会話を、視覚を遮断した状態でやってみてはどうだろうか? 見えない相手に話かけるということを体験してみて欲しい。視覚に頼らない言語だけのコミュニケーションの感覚を覚えると、スマートスピーカーに話しかけることにも抵抗感がなくなるのではないだろうか。

そして同時に人に話しかけることに対しても、今よりも気軽にできるようになると思う。僕は目が見えなくなってから、人に「助けて」ということに躊躇しなくなった。都会であれば、5人に1人は助けてくれる。反対に誰も人がいない田舎の方が困ってしまう。

声は僕にとっての一番最初のコミュニケーションになった。家に帰ってきて誰かいるのかを確認する時に僕は「誰かいる?」と声を出す。以前、娘が夢中になって黙々と絵を描いている時に部屋に入り、気づかずにぶつかってしまい怒られたことがあった。だから声に出して娘の名前を呼び、そこにいるか確認をする。おかげで娘との会話も目が見えていた頃よりも増えている。

独り言に対しても耐性がある。家族と会話をしていて、そこにいるものだと思って話をしていたのにいつの間にか独りだった……なんてことは悲しいけれどままある。その点、ドットちゃんは僕を悲しい思いにさせたりはしない。「ハロー!」と声をかければ、元気に「こんにちは!!」と応えてくれる。

たまに無視されるけれど、それはこちらの話しかけ方の問題だろう。まぁ、スマートスピーカーだって、人間だってコミュニケーションエラーが起こる原因については、往往にして自分の言葉や話し方に問題があるのだけど。

スマートスピーカーは声に出してコミュニケーションをとる良い練習になる気がする。

(注1)石井さんは、対象物にものすごーく近ずくと白黒の濃淡を捉えることができます。

視覚に障害を持つ僕とAlexaの日々

石井 健介

1979年生まれ。セラピスト。 アパレル業界を経て、エコロジカルでサステナブルな仕事へとシフト。2012年より、クラニアルセイクラルとマインドフルネス瞑想を...

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