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【イベントレポ】サイバード社主催「Voice UI Transformation」にVUI先進企業が登壇

2018年6月29日株式会社サイバードでカンファレンス「Voice UI Transformation」が開かれ約100名が参加しました。先進的なVUI事例が発表されたカンファレンスの内容を簡単にご紹介します。

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VUIによってサービスはよりパーソナルに

冒頭では株式会社サイバード代表取締役社長の内海州史氏が「今年はVUI元年となる」とVUI市場への期待を述べ、続いて同社開発統括本部VoiceUI部部長プロデューサーである根岸秀樹氏が登壇しました。

根岸氏は、今までのGUI(グラフィックユーザーインターフェイス:PCなどの画像を使ったUI)とVUIの違いについて「これまでのUIは人間が機械に合わせていたが、VUIは直感的に使える人間本位のUIである」と話しました。

さらに直感的に使えるVUIをうまくビジネスに取り入れれば、よりパーソナライズされたサービスが実現され、かつてないほど顧客のエンゲージを高めることができると述べました。その一方で、サービス提供者として強者になれるかどうかは、VUIを使いこなせるかに左右されるだろうという問題提起もしました。

カンファレンスの登壇者4名を紹介し、根岸氏の発表は終わりました。
(注:最後に登壇したアマゾンジャパン合同会社 アレクサビジネス本部長 柳田晃嗣氏の講演は都合上記事には掲載いたしておりません)

会場内の様子。写真提供:株式会社サイバード

テレビ朝日:将来テレビに映っている製品をスマートスピーカーで購入可能に

テレビ朝日の技術局技術戦略部 兼 総合編成局編成戦略部 先進技術担当部長である藤田和義氏からは、Amazon Echoと地上波テレビをリアルタイムに連携させたサービスの紹介がありました。

リアルタイムにテレビと連動させてAlexaで買い物ができる

はじめに藤田氏からテレビを巡る競争の激化について話がありました。YouTubeやNETFLIX、Huluといったネット動画コンテンツの多様化や、スマートフォンなどの新しいデバイスの台頭など、テレビのライバルが増えています。さらに最近はリモコン自体にYouTubeやNETFLIX、Huluといったボタンがつくなど、テレビをつければ地上波が最初に映るという「ファーストスクリーン」もネット動画コンテンツに奪われ始めていると言います。

そうした状況の中で生まれたのが、ハイコネ・ライブラリ(Hybridcast Connect Library)。ハイコネ・ライブラリはスマートフォンのアプリケーションやIoT機器などと、ハイブリッドキャスト対応テレビを連携させるためのソフトウェアです。テレビ朝日は、ハイコネ・ライブラリをAWS上でAlexaと連携させることで、スマートスピーカーに話しかけると、テレビで放送中の番組で紹介されている商品の購入やレストランの予約ができるスキルを開発しました。

画像提供:藤田氏

実際にスキルを使った会話は以下のようになります。
(デモはテレビ番組「じゅん散歩」で高級半纏(はんてん)の商品紹介が行われているシーンを見ながら行われました)

藤田氏「(画面を見ながら)アレクサ、じゅん散歩でこの商品を詳しく教えて」
Alexa「暖かい!軽い!保温性抜群のアルミシート入り高級羽毛半纏」
   「サイズは男女兼用のフリーサイズ、カラーはブラウン系・ボルドー系の2色」
   「メーカー希望小売価格税込14,800円のところ、税込6,980円です」
藤田氏「アレクサ、じゅん散歩でこの商品を注文して」
Alexa「ご注文のお色は、ブラウン系、ボルドー系のどちらですか?」
藤田氏「ボルドー系」
Alexa「ご注文の個数はいくつですか?」
藤田氏「2つ」
Alexa「アルミシート入り高級羽毛半纏、ボルドー系を2つ注文しますか?」
藤田氏「はい」
Alexa「アルミシート入り高級羽毛半纏、ボルドー系を2つ注文しました」

この後テレビ画面に「注文しました!」と表示が出て、スマートフォンにLINEで注文内容の情報が送られてきます。LINEを開いて「支払いを完了する」のボタンを押すとテレビ画面に「支払いが完了しました」と表示が出ます。

音声での注文から、スマートフォンでの決済までがスムーズにできます。

これまでスマートスピーカーでできるテレビ操作といえば、チャンネル変更と音量の調整が主でしたが、今テレビに映っているものを注文できるようになれば画期的です。

なお、テレビに映っているレストランやカフェの予約をすることも可能です。その場合はLINEに予約した店名や日時、人数などが送られてきます。

広告連動の可能性と今後の課題

音声操作ができるリモコンの利用率は増加傾向で、スマートスピーカーがリモコンに取って代わる流れは変わらないと予想されます。けれども、ただのリモコンの代わりではなく、本スキルのように視聴者にとって魅力的なサービスの窓口となるためには、視聴者の行動(調べる、予約する、購入する等)といかにシームレスに連携できるかが課題です。

将来的には、個人のテレビ番組視聴データを組み合わせたレコメンドや広告などをスマートスピーカーの音声で伝えていく可能性もあります。たとえば「これからドラえもんが始まるよ」と声をかけてくれるVUIや、独居老人などと一緒にテレビを見てくれるVUIなどもニーズが見込めると言います。

藤田氏の発表からは、テレビという巨大メディアが着実にVUIを取り入れていることが伺えました。

アクセンチュア:VUIはスマートフォンに取って代わる可能性がある

アクセンチュアの戦略コンサルティング本部 通信・メディア・ハイテク日本統括マネジング・ディレクターである中村健太郎氏は、同社が実施した調査「アクセンチュア 2018デジタル消費者調査」を元にVUIの特徴を分析発表しました。

VUIは“深い”使われ方をする

はじめに中村氏は、「もうキャズムは超えている」と述べました。アクセンチュアが世界19カ国の2万1,000人に対して行ったオンライン調査の結果、2018年末までに中国、インド、アメリカ、ブラジル、メキシコの5カ国でスマートスピーカーの所有率はオンライン人口の3分の1までに達すると言います。これを受けての「キャズム超え」という中村氏の言葉であり、2019年からスマートスピーカーは普及の段階に入ると言います。

画像出展:アクセンチュア 2018デジタル消費者調査

スマートスピーカーはスマートフォンと比較されることが多いですが、音声入力はテキスト入力に比べるとストレスが7分の1に減るといい、その分より深いコミュニケーションが取られていると中村氏は発表しました。

たとえば音楽再生をする場合、スマートフォンだと再生ボタンをタッチするだけですが、スマートスピーカーだと「80年代に流行した音楽をかけて」など個人の嗜好を反映しやすくなっています。また、スマートフォンで流せる音楽は自分でつくったプレイリストが中心ですが、スマートスピーカーは気分にあった音楽をストリーミングサービスの中から選曲して流してくれます。「気分に合う」「タイミングがいい」というのがスマートスピーカーユーザーの満足度が高い要因として紹介されました。

このように「気分」や「感情」がスマートスピーカーを語る上でのキーワードとなりました。同じ機能でもテキスト入力よりも音声入力の方がより感情に根ざした会話ができることもわかっています。そうした点が、スマートスピーカーがスマートフォンよりも“深い”使われ方をする理由と言えます。

洋の東西で変わるVUIに期待するキャラクター

続いて中村氏が紹介したのはトヨタ自動車の「コンセプト愛」という動画です。動画の中では、人間に対して車載されているAIがジョークを言うなど、人間とまるで友達のように話す場面があります。

アジア圏ではこうしたAIの存在は好評ですが、西洋ではそのような考え方はあまりないと言います。その理由は、西洋ではAIは人間に仕えるものであり、人間とAIの対等な関係は望まないというものです。

中村氏は、こうした背景を踏まえて、今後のVUIはどのようなインプットとアウトプットをするのかが差別化につながると言います。技術的にはどこも優劣がつけがたくなってきており、VUIのデザインによって違いが出るという非常に興味深いまとめでした。

パルコ:接客をVUIで拡張する

続いて株式会社パルコの執行役 グループICT戦略室担当である林直孝氏から、Alexaやロボットを取り入れた顧客対応に関する取り組みの発表がありました。

人間よりも接客が得意なロボット?

池袋PARCOでは現在、Alexaが顧客のお問い合わせに答えています。

画像提供:林氏

(スキル詳細についてはこちらをご覧ください▼)

パルコで接客のためにロボットを導入している理由には、大きく2つの変化があると言います。

  • B(パルコ)toC(お客様):スマートフォンの登場でいつでも利用できる即時性と検索性が求められるようになった
  • B(パルコ)toB(テナント):労働力人口減少等により接客に避ける時間が減少してきた

お客様には、VUIを使って即時性と検索性を提供し、テナントにはスタッフが接客に集中できる環境を用意するのがパルコの役割だと林氏は言います。

各階にインフォメーションカウンターを置くことも可能ですが、人的資源には限りがあるため、Alexaを置いているということです。ただ実は同社では、Alexaよりも早くロボットを設置しています。

2016年の仙台PARCO2のオープンに合わせて1ヶ月間対話型ロボットのpepperと自走式ロボットのNaviiをセットで置いたところ、インフォメーションカウンターよりも多くの問い合わせに対応したと言います。

画像提供:林氏
  • 有人のインフォメーションカウンターの接客:1日当たりの対応回数 134回
  • ロボットpepperとNaviiの接客:1日当たりの対応回数 403回

これが示唆することは、「インフォメーションカウンターにわざわざ行くほどではないが、チャンスがあれば聞きたい」と考えているお客様の存在です。ロボットを設置することでこうした隠れたニーズも満たし、店内での検索性を高めることができています。また、ロボットやAlexaのメリットは、問い合わせ内容の集計が自動でできる点です。これにより情報を共有しやすくなるというメリットも林氏は挙げていました。

ただ、Alexaを店舗に設置するにあたっては、雑音の中で正しいブランド名を言って聞き取れるかどうかなど苦労した点が多々あったと言います。現在アメリカではビジネス利用を念頭に置いたAlexa for Businessが出ており、その登場を楽しみに待っているということです。

今後の小売のあり方の変化

林氏は、アメリカでレジがないコンビニである「Amazon Go」を視察し、店頭から欲しいものを取ってすぐに帰ることができる、お客様の利便性を追求した非常に効率的な小売のあり方が今後進んでいくことを感じたと述べています。その一方で、パルコは、PARCOに行ったらショッピングを通じて「セレンディピティ(偶然に幸せな出来事に出会うこと)」を感じられる場所にしたいと語りました。

スマートスピーカーやVUIの台頭でより便利に効率的になる一方で、予想外の幸せといった「遊び」の部分をどう演出するかといったことは小売だけでなくすべてのサービスの課題と言えるかもしれません。

まとめ

VUIがここまで進化していたのか、というのが筆者の感想です。各社が顧客のエンゲージ獲得のために本気になってスキルの開発をすれば、今後あらゆるIoTでVUIが使えるようになる未来が本当にやってくるのではないかという期待を持つことができました。今後、株式会社サイバードでは定期的にイベントを開催する予定だとのことです。興味のある人は株式会社サイバードの音声UI/UX事業のホームページをチェックしてください。

株式会社サイバードのインタビューはこちら▼

SmartHacks Magazine 編集部

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